山元豪がスペシャル転向後初優勝 伊藤有希は「出ない選択肢はない」
2023年1月9日(月祝)北海道札幌市 大倉山ジャンプ競技場 HS137/K123
女子組(基本ゲート1本目26、2本目25)
1 | 伊藤 有希(土屋ホームスキー部) | 216.8pt |
2 | 岩佐 明香(大林組スキー部) | 200.1pt |
3 | 小林 諭果(CHINTAIスキークラブ) | 191.8pt |
男子組(基本ゲート1本目16、2本目14)
1 | 山元 豪(ダイチ) | 239.0pt |
2 | 佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) | 235.1pt |
3 | 佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部) | 228.0pt |
1本目で0.1pt差の2位だった山元豪。
平昌オリンピックの複合代表であり、WCで約70試合もの出場を誇る実績がありながら、今シーズンからスペシャルジャンプに転向してきた。25歳。今季も複合でWCに派遣される予定だったという。北京五輪代表に選ばれる可能性も高かった。
そういう選手の転向は異例だが、選手生命をかけて臨んだ平昌後のバーンアウト(燃え尽き症候群)からの心機一転が理由だったらしい。2本目は20番手と失速し結果は14位。しかし、1本目の2位はフロックでは獲れない。
第63回HBCカップジャンプ競技会 2021.1.11
熾烈な争いが繰り広げられている国内組の選手たちにとって、強力なライバルが現れたことは間違いない。
上記の記事から2年。山元豪が遂にスペシャルジャンプで勝利を収めた。
1本目で観客をどよめかす135.0m。トップで折り返した。でも正直、条件も飛び切り良かったので2本目はさすがに…
しかし2本目も132.5m。
2本目で失速した2年前のHBCカップの借りをHBCカップで返し、WC代表の佐藤慧一と佐藤幸椰を従えての堂々たる勝利。
優勝インタビューでは「(複合からの転向後は)うまくいかなかったことだらけだなって思います」と語った山元。
「それでもコンバインドでやってきたスポーツに対する取り組み方というのは変えずにやってきて、コンバインドで学んだものをスペシャルジャンプに生かすことができた結果が今日なのかなっていうふうに思っています」と結んだ。
「目標は次のオリンピックでメダルを獲ること」
もちろん、スペシャルジャンプの選手としてだ。
男子組
前の二日間はこの地で女子ワールドカップが開催された。
海外組が12日から始まる蔵王大会に向けて移動や休養に充てる中で、伊藤有希は「日本にいる限り、出ないという選択肢はない」と唯一人出場。そして勝利した。
2019年や2020年なども同じようなシチュエーションで出場してきた経緯があるが、このように国内戦に出続けるのはスキージャンプを普及させる狙いがある為とのこと。
伊藤有希のこうした姿勢は、もっともっと評価されていい。
女子組
WCに開催国枠として出場し見事にポイントを獲得した岩佐明香と小林諭果が表彰台。
岩佐は2本目でこの日の最長不倒となる133.0mをマーク。
条件も良かったが上手にその風をつかんだ。恐怖心もあったかもしれないが最後まで飛び切り無事に着地。見ごたえたっぷりのパフォーマンスだった。
表彰式
成人のお祝い
毎年恒例の成人のお祝い。
今年は2名の新成人に記念品が贈呈された。
おめでとう。
- 久保田 真知子(早稲田大学)
- 高橋 剛流(浅野板金)
表彰式と成人のお祝いの終了後に、20名ほどの男子選手が参加しての記録会が開催された。
その実態は、14日と15日に開催されるコンチネンタルカップ札幌大会の出場選手の選考会。
「国際競技大会派遣選手選考基準」に則り、既に今季のCOCポイントを獲っている渡部陸太、清水礼留飛、岩佐勇研は決定済み。
20名ほどの選手が残りの7枠を競ったわけだが、次の7名に決定した。(選考会の順位の順)
- 内藤智文、佐藤慧一、竹内択、竹花大松、葛西紀明、中村優斗、原田侑武
WCに繋がる重要な選考会が、観客が帰ってしまった後にひっそりと行われたのは非常にもったいない気がする。
もっとも、私も1本目だけ観て所用の為に帰途についてしまったのだが。