北京オリンピック2022 男子団体

団体戦巧者オーストリアが激戦を制し金 日本は5位

2022年2月14日(月) 北京(CHN)HS140/K125

Men’s Team

オーストリア 942.7pt
クラフト、フーバー、ヘール、フエットナー
スロベニア 934.4pt
コス、C.プレブツ、ザイツ、P.プレブツ
ドイツ 922.9pt
シュミット、ライエ、アイゼンビヒラー、ガイガー
 
4 ノルウェー 922.1pt
5 日本 882.8pt
佐藤幸椰、中村直幹、小林潤志郎、小林陵侑
6 ポーランド 880.1pt
7 ROC 806.5pt
8 スイス 791.5pt

オフィシャル リザルト


稀に見る公平な条件で繰り広げられた2日前の男子個人戦とは対照的に、この日のラージヒルは強めの追い風。しかも、それが時折ピタリと治まる。なんとも気難しいコンディション。
スキージャンプ競技の最終種目である男子団体戦は、この不安定な風がドラマを演出し、スロベニア、オーストリア、ノルウェー、ドイツの4チームが最後まで激しくメダルを争うスリリングな展開となった。

金のオーストリアと銀のスロベニアの最終的な差は僅か8.3pt。
試合をリードし続けたスロベニアにとっては、2本目の3組目でヘール、アイゼンビヒラー、ヨハンソンらがスーパージャンプを決める中、ザイツがハズレの条件を引いてしまったのが痛かった。
それでも、セネの活躍もあって銀を手中に収めた。男女合わせて4つのメダルを獲得したスロベニアにとっては大成功のオリンピックとなった。

銅のドイツと4位のノルウェーの差はなんと0.8pt。
ノルウェーは、個人LH金のリンビークが、2本とも踏切が合わずに低調なジャンプに終わってしまったことが大誤算。最後の1本であと50cm飛んでいれば銅メダルだっただけになんとも悔しい。
一発を見せたが、最後の最後で手ぶらで帰ることになってしまったグランネルが哀しい。

ただし、もちろんこれは一人だけの責任ではない。
他の誰かがこれをカバーすればよかったわけで、それが団体戦の怖さであり面白さだ。
この試合は接戦となったがゆえに、そのことが改めて浮き彫りになったように思う。

オーストリアは1本目のクラフトの失敗を、フーバー、ヘールがしっかりとカバーし、何よりもクラフト自身も2本目で帳消しにしてみせた。そして最後を締めたフエットナーのなんと頼もしいこと。
フエットナーは、団体戦で活躍をしてきた印象が強いが、まさか36歳にして団体戦巧者オーストリアのアンカーを務めるとは。そして2つ目のメダル。彼にとっては素晴らしいオリンピックとなった。

2本の素晴らしいジャンプを揃えて吠えまくったアイゼンビヒラー。
同じく素晴らしい2本を見せたストッフ。
けれど報われたのは逆転の末に銅メダルを手にしたアイザイだけ。
金こそなかったがドイツは男女合わせて3つのメダルを獲得。対してポーランドは個人NHでのクバツキの銅メダル1つに終わった。

日本は残念ながらメダル争いに絡むことはできなかった。
今季のWCで行われた3試合の団体戦のうち、1月のビショフスホーヘンとザコパネで2位・3位と連続表彰台を獲得してはいた。
その再現が期待されたが、小林陵侑を除けば残念ながらメダルに届くパフォーマンスは発揮できなかった。

試合後に宮平ヘッドコーチは、国内大会について、追い風あるいは無風の条件で飛べる大会を増やすことでレベルアップにつながると語ったらしい。
自然条件を変えることはできないので、実務的にはゲート設定で対応することになろうかと思われる。
しかし、今季の大倉山の運営は真逆の方向に進もうとしているように思えてならない。


さて、スキージャンプ競技全5種目が終了した。
日本ジャンプ勢として24年ぶりに金メダルを獲得した小林陵侑の姿に日本中が湧いた。
一方で、スーツ失格問題が世間の耳目を集め、この競技がネガティブな印象として発信されてしまったりもした。

スキージャンプがこれほど話題に上ったことは、おそらくは長野オリンピック以来だろう。
当ブログにも、連日、驚くほどのアクセスがあり、スキージャンプが注目を集めていることがひしひしと感じられた。
この盛り上がりが今後も続いてくれることを願ってやまない。

スキージャンプ競技メダリスト一覧

女子個人ノーマルヒル

 ウルサ・ボガタイ(SLO)
 カタリナ・アルトハウス(GER)
 ニカ・クリジュナル(SLO)

男子個人ノーマルヒル

 小林 陵侑(JPN)
 マニュエル・フェットナー(AUT)
 ダヴィド・クバツキ(POL)

混合団体

 スロベニア
クリジュナル、ザイツ、ボガタイ、P.プレブツ
 ROC
マヒーニャ、サドレーフ、アバクモワ、クリモフ
 カナダ
ルティト、ソークップ、ストレート、ボイド-クローズ

男子個人ラージヒル

 マリウス・リンビーク(NOR)
 小林 陵侑(JPN)
 カール・ガイガー(GER)

男子団体

 オーストリア
クラフト、フーバー、ヘール、フエットナー
 スロベニア
コス、C.プレブツ、ザイツ、P.プレブツ
 ドイツ
シュミット、ライエ、アイゼンビヒラー、ガイガー

国別メダル獲得数

獲得順国名
1スロベニア2114
2日本112
2オーストリア112
4ノルウェー11
5ドイツ123
6ROC11
7ポーランド11
7カナダ11

素晴らしい戦いを繰り広げてくれた各国男女代表チームの選手、コーチ、スタッフの皆様、たいへんお疲れ様でした。
夢を感動を、ありがとう!