第32回UHB杯ジャンプ大会

小林潤志郎が兄弟対決を制する 伊藤有希は高梨沙羅を破る

2019年11月2日(土) 札幌市 大倉山ジャンプ競技場 HS137/K123

女子組(ゲート1本目16、2本目16)

1  伊藤 有希(土屋ホームスキー部)  213.3pt
2  高梨 沙羅(クラレ)  201.7pt
3  勢藤 優花(北海道ハイテクアスリートクラブ) 153.3pt

公式リザルト

男子組(ゲート1本目5、2本目4)

1  小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部)  274.3pt
2  小林 陵侑(土屋ホームスキー部)  271.5pt
3  伊東 大貴(雪印メグミルクスキー部) 259.2pt
 
4  葛西 紀明(土屋ホームスキー部)  235.9pt
5  伊藤 将充(土屋ホームスキー部)  214.6pt
6  清水 礼留飛(雪印メグミルクスキー部)  213.2pt

公式リザルト


 

2シーズン前までのUHB杯は、どことなく日陰の存在だった。
他のテレビ局杯に比べて後発ゆえかやる気がない為か、日程的にいつも割を食わされていて、WC、ジュニア世界選手権、インターハイ、全中などと丸被り。
よって、2017年第29回大会のように男女合わせて35名にも満たないエントリーかつテストジャンパー不在というあまりにも寂しい陣容だったこともある。

 

転機は2018年第30回大会だったであろうか。
平昌五輪直前の開催だったことが幸いし、WCをスキップして国内調整を選んだ男子五輪代表が緊急参戦。さらには日本で合宿中だったシモン・アマンやエフゲニー・クリモフなども急遽参戦。思わぬ盛況を見せた。
それに味を占めたか昨季の第31回大会から開催時期をそれまでの2月からWCシーズン前でフルメン参戦が望める11月に前倒しを決行。
かくして、日陰の存在だったUHB杯は札幌開催の中で最も華やかな大会へと一気に変貌を遂げることとなった。

 

この日も多くのイベントを組み、昨年同様に豪華すぎる無料送迎バスや子供が楽しめるアトラクションが用意された。
お天気が良かったことも手伝って、ご覧の通り国内戦としてはかなりの数のお客さんが集まった。
どこにそんな予算が? と心配になるほどテレビCMをバンバン流し続けたUHBの並々ならぬ力の入れように頭が下がる思いだ。

 

 

女子組


1 伊藤 有希(土屋ホームスキー部)

 


2 高梨 沙羅(クラレ)

 


3 勢藤 優花(北海道ハイテクアスリートクラブ)

 


4 勢藤 理桜(下川商業高校)

 


5 丸山 希(明治大学)

 


6 岩佐 明香(大林組スキー部)

 

男子組


1 小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部)

 


2 小林 陵侑(土屋ホームスキー部)

 


3 伊東 大貴(雪印メグミルクスキー部)

 


4 葛西 紀明(土屋ホームスキー部)

 


5 伊藤 将充(土屋ホームスキー部)

 


6 清水 礼留飛(雪印メグミルクスキー部)

 


 

男女ともにゲートは低速設定。特に男子はあまり使うことの無い5番・4番ゲートが使用された。
テレビ実況では再三にわたりWCと同レベルのゲート設定=WCと同レベルの試合と言いたそうであったけれど、この日はいつも以上に強い向かい風傾向だったのでゲートを下げざるを得なかっただけのこと。ただ、いつもとスピードが違い過ぎて合わせにくいという意味では高い技術レベルが求められる試合ではあったかもしれない。
また、アタリハズレも相当あったと思われ、特に男子は1本目と2本目の順位に乖離が見られる。平均速度85kmではハズレの風を引いてしまっては如何ともしがたく、いずれにしても難しい試合ではあった。

 

前日のUHBの番組で特集されたことに発奮したか、試技から133.5mを飛び、1本目でも134.0mを飛び3位で折り返した内藤智文。
7月に日立ハイテクノロジーズという大きなスポンサーを得たが、この夏の出遅れ感は否めずこれまで成績は散々だった。
その内藤が魅せた久々の胸のすくような大ジャンプ。小林兄弟を相手に表彰台が見えていたが2本目は完全にハズレを引かされ万事休す。
2本目だけを見れば21位。結果は11位まで落ちてしまった。

 

 

小林陵侑に逆転勝ちした小林潤志郎は、秋の札幌3試合では全日本選手権NHに続く2勝目。
現在、打倒陵侑の筆頭にいるのが潤志郎であることは間違いないだろうね。

 

高梨沙羅に逆転勝ちした伊藤有希は、2本目でこの試合唯一のK点オーバー。
国内戦で沙羅を従えての勝利は、2017年11月の第96回全日本スキー選手権大会ラージヒル 兼 第59回NHK杯ジャンプ大会まで遡るはず。

 

この夏出場したGP2試合と国内4試合の全てで勝利を飾ってきた高梨沙羅は、1本目をトップで折り返したが2本目で逆転を許した。
その2本目は中盤以降の伸びを欠き、明らかにストンと落ちた。沙羅のこんな飛行曲線は見たことがない。やはり風の影響が大きかったと思われる。

 

表彰式


女子組

 


女子組最長不倒賞 伊藤 有希(125.0m)

 


男子組

 


男子組最長不倒賞 小林 陵侑(139.5m)

 


 

この日は例のDJがMCを務めた。
今までのような音声多重放送ではなく、飛距離のみ青野さんが伝える。
音声多重よりは遥かにマシだったけれど、やはり情報が不足していて試合の流れがつかみにくい。
例えば前述の内藤の2本目。内藤はこれによりこの時点で9位にまで順位を落とすのだが、その点についての言及は一切なし。電光掲示板には6位までしか表示されないので、場内実況が伝えてくれないと観客は知りようがない。
1本目3位の選手だ。表彰台争いだけでなく優勝争いをしていた選手だ。その選手の結果を伝えないでどうする。
さすがにこの時は青野さんが9位に落ちたことを伝えてくれたからよかったものの… 全体として試合の流れや展開が掴みにくくコンペティションとしての楽しみが大いにスポイルされてしまった感がある。

 

また、クラブ風ミュージックをのべつ幕なし掛け続けられるのも困りもの。通常は選手がゲートインしてから飛び終わるまでは一旦音楽は消されるのだが…
これではスタートの合図が聞こえにくく飛距離さんたちもやりずらかったのではないか?
何よりも、ランディングバーン横で観戦する醍醐味の1つである風を切る音や選手が発する声などが聞こえなくなる。

 

優勝インタビューで有希と潤志郎が言及した通り、DJは確かに場内を盛り上げてはくれた。
ショーとしてはそれでいいだろう。事実、この日訪れた多くのお客さんがスキージャンプショーを楽しんだ。
でもコンペティションとしてはこれじゃダメだ。少なくとも私はショーではなく試合を観にきている。
1年に一つや二つこんな試合があってもいいとは思う。
でも、これがデフォルトになるのは絶対に嫌だ。

 

 

 


 

今シーズンのワールドカップは、男子は11月22日にヴィスワで、女子は12月6日にリレハンメルで開幕する。

 

下表は、WC開幕メンバーの秋季3試合の成績。
この3試合はアイストラックを使用していないが、それがWC開幕に向けて影響するのかしないのか。

 

  全日本NH 全日本LH・NHK杯  UHB杯
 小林 陵侑 3位 優勝 2位
 小林 潤志郎 優勝 5位 優勝
 佐藤 幸椰 6位 10位 12位
 伊東 大貴 7位 6位 3位
 葛西 紀明 16位 7位 4位
 中村 直幹 10位 4位 8位

 

  全日本NH NHK杯  UHB杯
 高梨 沙羅 優勝 優勝 2位
 伊藤 有希 2位 2位 優勝
 丸山 希 3位 3位 5位
 勢藤 優花 7位 5位 3位
 岩渕 香里 5位 4位 棄権