ストロームがグランプリ初優勝 勢藤優花2位 丸山希3位

Official Results
1 | アンナ-オディヌ・ストローム(NOR) | 230.8pt |
2 | 勢藤 優花(オカモトグループ) | 214.5pt |
3 | 丸山 希(北野建設SC) | 202.7pt |
5 | 佐藤 柚月(東京美装グループスキー部) | 194.1pt |
6 | 高梨 沙羅(クラレ) | 193.8pt |
8 | 一戸 くる実(雪印メグミルクスキー部) | 183.2pt |
28 | 伊藤 有希(土屋ホームスキー部) | 144.8pt |
衝撃が走った。
金曜日に行われた予選でアレクサンドリア・ルティト(CAN)が転倒し怪我を負った。
木曜日のノーマルヒルでエバ・ピンケルニッヒ(AUT)が転倒し左膝の前十字靭帯断裂などの大怪我を負ってしまったばかり。おそらくこれは来年2月のオリンピック出場が夢と消えてしまったことを意味する。
そして、どうやらルティトも同じ状態にあるようだ。
これを受けてカナダ女子チームとオーストリア女子チームは土曜の本戦の出場を取りやめた。
そんな中で優勝したのは、1本目と2本目で最長不倒を出したアンナ-オディヌ・ストローム。
今季の参戦はここバルディフィエンメからだが、その2試合目で快勝した。
ワールドカップ(WC)では3勝を挙げているが、グランプリ(GP)は初優勝。これまで表彰台すらなかった。
勢藤優花は、WC・GPを通じて初の表彰台だった前戦より順位を一つ上げて2試合連続の表彰台。
初表彰台では「次につながる」と語っていたが、さっそく次につなげて見せた。
2本目はこの日の最長不倒132.0m。ラージヒルでも十分に戦えることを示した。
今季6度目の表彰台となった丸山希は、GP総合で首位をキープ。
GPは残り1試合。既に総合2位以上は確定している。
2位のニカ・プレヴツとの差は50pt。最終戦でプレヴツが優勝した場合は丸山は3位以上が必要となるが、ここまで来たら勝って総合優勝を決めたい。
総合4位の高梨沙羅、5位の佐藤柚月、6位の勢藤優花、7位の一戸くる実は、総合8位以上が確定している。
今季は開幕戦クーシュベルでトレーニング中にララ・マルジナー(ITA)が転倒し前十字靭帯断裂などの大怪我。
そして、ここバルディフィエンメでピンケルニッヒとルティトが同じ怪我を負った。
3人とも来年2月のオリンピック出場は極めて困難な状況にあるといえる。
これだけ短期間に、大きな怪我をもたらす転倒が相次いだ原因は何か。
一つにはスーツのルール変更が考えられる。
今シーズンからスーツはよりタイトな仕様になっていて揚力が得られにくくなった。
よって、その分だけ着地の衝撃が強まっているであろうことが想像される。
ただ、マルジナーを除けば、今季ここまでのGPは大きな問題なく行われてきた。
なので、スーツだけの問題でもないような気がする。
実は、今回のバルディフィエンメ大会では、大きな怪我にはなっていないものの転倒が頻発している。となると、改装されたプレダッツオの台に問題があるのではないか。
先ず、複合の渡部暁斗が「風の影響を受けやすいジャンプ台なのは間違いない」と読売新聞の取材に答えている。ただ、これは改装前の取材に対するもの。
改装された台に対しては、ジョバンニ・ブレサドーラ(ITA)が飛行曲線が高くて着地が快適でないと言っており、小林陵侑もフライトの終盤で「たたき落される感じになる」と語っている。
この試合でも、1本目の最長不倒はK点より4.0mも短い124.0m。2本目ではゲートを少し上げたが、130.0mに届いたのは2人だけ。
ただ、その割りにアプローチスピートは97km/h台まで出ている。
これは強い追い風が吹くこの台の特性によるものだけど、もう少しスペクタクルな方向に振りたくても、さすがに100km/h近いスビートは危険。何とも難しい台だ。
おそらくは、こうした台の特性と相まって、これまで顕在化していなかった新スーツが持つ危険性が炙り出されたのが、今回のピンケルニッヒやルティトの事故だったのではないか。
つまり、スーツか台のどちらか一方の問題なのではなく、そのマッチングによって危険な状況が生み出されるのではないかという気がする。
男子に大きな問題が生じていないのは、そもそも女子とは筋力が違うからだろう。
新プレダッツオが設計されたのは旧スーツの時のことだったはずで、先に新スーツのルールが決まっていれば、それを加味した違うプロフィールで作られていたかもしれない。
ただ、それを言い出せば、他にも新スーツにマッチしない既存の台はあるはず。
スーツのルールを変更するたびに台を改装するわけにはいかないので、女子だけでもスーツのルールをもう一度見直すことが現実的な解決策のような気がする。
そもそも、オリンピックまでにプレダッツオの台のプロフィールを変更することなどできるのだろうか?
前述の通り他にも新スーツと相性の悪い台は存在するかもしれないが、それも全て改装するなど無理な話だ。
まぁ、ランディングバーンの形状だけでなんとかなるのであれば、かつて大倉山でやったように雪を盛ってフラットにするという奥の手もあるにはあるけれど…