伊東大貴 WC復帰を決めるV 女子SBC杯は高梨沙羅
2018年10月28日(日)長野県 白馬ジャンプ競技場 HS131/K120
全日本選手権LH 兼 SBC杯 男子組(基本ゲート1本目12、2本目12)
1 | 伊東 大貴(雪印メグミルクスキー部) | 273.0pt | 131.0m | 133.5m |
2 | 中村 直幹(東海大学) | 260.4pt | 127.5m | 130.0m |
3 | 佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) | 250.8pt | 129.0m | 128.5m |
4 | 伊藤 謙司郎(雪印メグミルクスキー部) | 250.7pt | 128.5m | 129.5m |
5 | 栃本 翔平(雪印メグミルクスキー部) | 246.5pt | 129.5m | 125.5m |
6 | 作山 憲斗(北野建設スキークラブ) | 242.1pt | 127.0m | 122.5m |
SBC杯 女子組(基本ゲート1本目20、2本目20)
1 | 高梨 沙羅(クラレ) | 254.2pt | 124.0m | 114.5m |
2 | 伊藤 有希(土屋ホーム) | 222.6pt | 119.5m | 125.0m |
3 | 岩渕 香里(北野建設スキークラブ) | 206.4pt | 117.5m | 121.0m |
「2018/2019 FIS ワールドカップ派遣選考基準」によると、WC開幕からの5大会(ヴィスワ、ルカ、ニジニ・タギル、ティティゼーーノイシュタット、エンゲルベルク)の派遣選考基準は下記の通り明示されている。
選考基準:第97回全日本スキー選手権大会後、コーチ会議を実施。
- 全日本選手権大会ラージヒル優勝者(ウィンド・ゲートファクターを使用した場合のみ適用)
- 前シーズンWCランキング上位からクォーター数。ただし、クォーター枠確保を優先する必要がある場合は考慮する。
これを素直に読めば、全日本選手権LH優勝者は派遣決定(もちろんICR上の基準を満たしている前提で)と見える。
それ以外は昨季のWCランキング上位から(これがWCスタンディングを指すのか、ワールドランキングを指すのかが定かではないが、私は文脈からWCスタンディングと受け取った)だが、クォーター枠確保を優先する為に”多少の作為は介入する余地がある”という意味にとった。
伊東大貴は昨季WC開幕戦で転倒し右肩を亜脱臼。
その後はリハビリに専念したためにWCの出場は僅か2戦にとどまった。
結果、昨季獲得したWCポイントは僅かに8pt。これは、小林潤志郎、小林陵侑、葛西紀明、竹内択、佐藤幸椰に次ぐ6番目の数字。
“多少の作為は介入する余地がある”のだとすると、6番手では危うい。なので、伊東大貴はこの試合に勝つことが必要だった。
そして、見事に勝った。
この試合の後すぐに明らかになったWC開幕メンバーは、小林潤志郎、小林陵侑、葛西紀明、竹内択、中村直幹、そして伊東大貴の6名。
次点は佐藤幸椰で、12月初旬に成績下位の1名と入れ替えるらしい。この部分においては多少の作為が介入したようだが、それ以外は順当な選考だったように見える。
以前にも書いたが、前年のWC成績が重視されているが、そもそも前年のWC選考基準が果たして公平・公正だったのかという点と、結局は過去の実績が重視されており、むしろ現状で勢いのある選手を選んだ方が良い成績が得られるのではないかという点が少し気になるところではある。
その意味では、今夏絶不調の葛西紀明が選ばれたことには、いろいろな意見があろうとは思う。
2シーズン前から出始めたスリップ現象は、いまだに解消されていないらしく、今夏は新しいアプローチ姿勢に取り組んだ。
そのおかげてアプローチスピードは向上が見られたけれど、やはりスリップが収まらない。
前日のNHでの26位を受けて、この日はアプローチ姿勢を元に戻したら18位。
一部のメディアからはこれを一筋の光明と捉える報道もなされたが・・・
伊東大貴は全日本選手権LHとしては初優勝。
前戦の記事でも書いたが、これまでAチームはWC等の派遣によりエントリーできないことの方が多かった。
それがあって2015年第94回大会から秋開催へ変更されたわけだが、やはり真の全日本チャンピオンの座をAチーム不在で決めるのでは画竜点睛を欠く。
アイストラックの維持に難しさがあるとはいえ、それでもやはり秋開催への転換は大英断だったように思う。