第50回HTBカップ国際スキージャンプ競技大会 FISコンチネンタルカップ2023

リンゲンがV 日本勢10名がWC出場権獲得に挑む

2023年1月14日(土)北海道札幌市 大倉山ジャンプ競技場 HS137/K123

ソンドレ・リンゲン

HTBカップ(基本ゲート1本目12、2本目12)

1  ソンドレ・リンゲン(NOR) 244.5pt
2  フィリップ・アッシェンバルド(AUT) 234.4pt
3  マティヤ・ヴィディッチ(SLO) 232.8pt

リザルト

FISコンチネンタルカップ第9戦(基本ゲート1本目12、2本目12)

1  ソンドレ・リンゲン(NOR) 244.5pt
2  フィリップ・アッシェンバルド(AUT) 234.4pt
3  マティヤ・ヴィディッチ(SLO) 232.8pt
 
10  佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) 213.2pt
11  竹内 択(team taku) 209.2pt
22  岩佐 勇研(東京美装グループスキー部) 183.0pt
23  内藤 智文(米沢スキージャンプクラブ) 181.6pt
29  原田 侑武(雪印メグミルクスキー部) 137.8pt
34  清水 礼留飛(雪印メグミルクスキー部) 72.1pt
35  渡部 陸太(東京美装グループスキー部) 71.6pt
36  竹花 大松(土屋ホームスキー部) 70.9pt
37  葛西 紀明(土屋ホームスキー部) 70.8pt
38  中村 優斗(COOTS SC) 69.3pt

リザルト COC総合


HTBカップは1995年からコンチネンタルカップ(COC)を兼ねて行われている。
COCはワールドカップ(WC)の一つ格下の大会として開催されており、その下にはFISカップがある。
いずれもWCと同様に試合ごとに上位30人に対してポイントが与えられ、シーズン総合優勝を争う。

これまでにWCポイントを獲ったことがない選手はCOCのポイントを獲らないことにはWCに出場することができない。
また、COCに出場するためにはFISカップのポイントを獲得しなければならない。

ここで重要な点は、FISカップとCOCのポイント保持者が上位カテゴリーに出場する権利は2シーズンで消滅してしまうということ。
よって、今シーズンのWC札幌大会に出場することができるのは、これまでにWCポイントを獲得したことがある選手か、前シーズンまたは今シーズンにCOCポイントを獲得した選手に限られる。

HTBカップと翌日に行われるSTVカップはCOCを兼ねているため、従来から国内組の選手にとっては国内に居ながらにしてCOCポイントを獲得できる絶好の機会だった。
ここでポイントを獲得し、その直後に開催されるWC札幌大会に出場するというのが国内組にとってステップアップの王道ともいえる。

ところが、この2年間はコロナ禍によりCOC札幌大会は兼催されなかったばかりか海外COCへの派遣も行われなくなってしまった。そしてWC札幌大会も開催断念。
国内組の選手たちはWC出場の手段を奪われ、せっかく保持していたCOCポイントも2シーズンが過ぎて効力を失ってしまった。

こうした状況を経て今ようやく3年ぶりに開催される運びとなったCOC札幌大会とWC札幌大会。
国内組の選手たちがこの機会をどんなに待ちわびていたことか。
失った2年を取り戻し全身全霊をかけて挑むべき大会。それが今回のCOC札幌大会だといえる。

ただし、COC札幌大会には誰でもが出場できるわけでない。
ここにも原則的な出場枠と開催国枠があり、今回エントリーできるのは合わせて10人。
今季のCOC海外遠征でポイントを獲得している渡部陸太、岩佐勇研、清水礼留飛の3人がまず出場権を獲得。それ以外の7人は9日に開催されたHBCカップの結果とその試合後に行われた選考会にて決定することとなった。

こうした経緯はほとんど報道されることもなくファンであってもあまり知ることができない。
事実、選考会は観客のいない中でひっそりと行われた。3年ぶりのWC札幌大会の日本代表に繋がる選手を選考する場であったにもかかわらずだ。

こうして10人の選手が選ばれた。
ここからの3試合でWC札幌大会の出場権を競い合うことになる。
生き残るのは7人。

トップ3 & COCチームJAPAN

ソンドレ・リンゲン(NOR)
1 ソンドレ・リンゲン(NOR)
フィリップ・アッシェンバルド(AUT)
2 フィリップ・アッシェンバルド(AUT)
マティヤ・ヴィディッチ(SLO)
3 マティヤ・ヴィディッチ(SLO)
佐藤 慧一
10(HTB-12)佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部)
竹内 択
11(HTB-13)竹内 択(team taku)
岩佐 勇研
22(HTB-28)岩佐 勇研(東京美装グループスキー部)
内藤 智文
23(HTB-29)内藤 智文(米沢スキージャンプクラブ)
原田 侑武
29(HTB-38)原田 侑武(雪印メグミルクスキー部)
清水 礼留飛
34(HTB-43)清水 礼留飛(雪印メグミルクスキー部)
渡部 陸太
35(HTB-44)渡部 陸太(東京美装グループスキー部)
竹花 大松
36(HTB-45)竹花 大松(土屋ホームスキー部)
葛西 紀明
37(HTB-46)葛西 紀明(土屋ホームスキー部)
中村 優斗
38(HTB-47)中村 優斗(COOTS SC)

この試合には、小林潤志郎、佐藤幸椰、二階堂蓮らWC海外遠征組をはじめ、他にも多くの日本人選手が出場している。
ただし、彼らがエントリーしているのはHTBカップのみ。外国人選手たちも含めてこの日出場した全ての選手がHTBカップにエントリーしている。

一方で、COCにエントリーしているのは、まずはすべての外国人選手。
日本勢でエントリーしているのは前述の通り10名の選手だけだ。

HTBカップの日本勢上位3名は、5位:二階堂蓮、6位:佐藤幸椰、12位:佐藤慧一。
二階堂蓮と佐藤幸椰はCOCにはエントリーしていないが、佐藤慧一はCOCにもエントリーしており、その順位は10位。
つまり、佐藤慧一はこの日、HTBカップで12位、COCで10位という異なる二つのリザルトを持つことになる。

WC海外遠征組にとっては日本代表として国内組に負けるわけにはいかないという気持ちもあっただろうし、下位カテゴリーを戦う海外COC組にも負けるわけにはいかないという気持ちもあっただろう。
COCにエントリーしていない日本勢にとっても海外勢と力比べができるまたとない機会だ。
もちろん海外勢もWCチームに食い込むために成績を残そうと必死だ。

それぞれの置かれた立場でそれぞれの戦いを繰り広げているわけだが、個人的にはCOCエントリー10名によるWC出場を賭けた戦いこそが最大の見せ場であったように思う。
そこにフォーカスを当てればこの試合の見方は大きく変わってくるはずなのだが、主催者側にも報道にもそういう視点が十分ではなかった点が残念だ。

表彰式

HTBカップ国際スキージャンプ競技会
HTBカップ表彰
コンチネンタルカップ武札幌大会2023
コンチネンタルカップ表彰

ソンドレ・リンゲンは今季COCで2勝目。
この勝利でイエロービブを奪取することとなった。

2位のフィリップ・アッシェンバルトはWCで2度表彰台に上ったことのある選手。
強豪オーストリアにあってAチームに返り咲くことを目指している。

3位のマティヤ・ヴィディッチはまだWCの出場がなくCOCとしてもこれが初表彰台。

ピックアップ ギャラリー

COCで2本目に進出できるのは30名なのに対してHTBカップは40名。
なので、1本目でCOC32位だったクレメンス・ムランカのようにCOCとしては2本目に進めないけどHTBカップとしては40位なので2本目に進めるという選手が生じることがある。
で、2本目で順位アップしてHTBカップで30位となったために、COCの順位ではマチェイ・コットより7つ下なのにHTBの順位では3つ上という現象も起こったりする。

そんなムランカやコットをはじめとして、遠い遠いSapporoまで遥々やってきてくれた海外選手たちに敬意を表し、下手な写真ではあるが例によって何人かをピックアップしてみた。

ヨアヒム=ウーデゴール・ビヨレン
4(HTB-4)ヨアヒム=ウーデゴール・ビヨレン(NOR)
ザク・モゲル
5(HTB-7)ザク・モゲル(SLO)
アンデシュ・ファンネメル
6(HTB-8)アンデシュ・ファンネメル(NOR)
ティレン・バルトル
7(HTB-9)ティレン・バルトル(SLO)
キリアン・バイエル
13(HTB-15)キリアン・バイエル(SUI)
ダビィド・ジーゲル
14(HTB-17)ダビィド・ジーゲル(GER)
アルティ・アイグロ
16(HTB-19)アルティ・アイグロ(EST)
マッケンジー・ボイド=クローズ
19(HTB-22)マッケンジー・ボイド=クローズ(CAN)
マチェイ・コット
25(HTB-33)マチェイ・コット(POL)
クレメンス・ムランカ
32(HTB-30)クレメンス・ムランカ(POL)

なお、ドイツチームの荷物が届かずジーゲル以外の選手は出場できなかった。
はるばる日本まで遠征してくれたのに、こんな目に合うなんて…

onちゃん
テレマークを決めるon もっと練習が必要