ジャンプ週間第2戦 小林陵侑 連勝でトップを守る
2019年1月1日(火) ガルミッシュ-パルテンキルヘン(GER)HS142/K125
12th World Cup Competition
1 | 小林 陵侑(土屋ホーム) | 266.6pt | 136.5m | 133.0m | トロフィモフ |
2 | マルクス・アイゼンビヒラー(GER) | 264.7pt | 138.0m | 135.0m | ベア |
3 | ダヴィド・クバツキ(POL) | 256.2pt | 133.5m | 133.0m | ダミヤン |
5 | 小林 潤志郎(雪印メグミルク) | 249.4pt | 131.0m | 131.5m | タンデ |
12 | 伊東 大貴(雪印メグミルク) | 241.2pt | 130.0m | 130.0m | 葛西 |
17 | 佐藤 幸椰(雪印メグミルク) | 236.3pt | 126.5m | 134.0m | インサム |
26 | 中村 直幹(東海大学) | 226.2pt | 126.0m | 126.0m | ヴォルネ |
32 | 葛西 紀明(土屋ホーム) | 100.9pt | 124.0m | 伊東 |
小林陵侑とマルクス・アイゼンビヒラーは、僅か0.4pt差の接戦を演じた第1戦と同様に、第2戦でも胸躍るスリリングな戦いを繰り広げた。
1本目の二人の差は0.2pt。陵侑が僅かに上回った。
ワールドカップ初優勝を、そして何よりも子供のころからの夢だったというゴールデンイーグルの獲得を目指すアイゼンビヒラーは、2本目は5番手の得点ながらカレントリーダーとして陵侑を待つ。
ラストの陵侑はto beatに対してオンライン。微妙だ。リーダーボードの前でそれを凝視していたアイゼンビヒラーは思わず両手で髪をかきむしる。
勝ったのは果たして―
陵侑の元に大貴と潤志郎が駆け寄る。小躍りする潤志郎。大貴が抱擁を交わす。その差はこの日も僅かに1.9pt。
陵侑がジャンプ週間で見事に2連勝を果たした。
陵侑は、この日2本ともアイゼンビヒラーよりも条件が悪かった。いや、ジャンプ週間でのここまでの4本のうち1本目以外は陵侑の方がいずれも条件が悪い。
実際、初戦の1本目以外は全て追い風でスキーを叩かれているように見える。
それでも耐えてこらえて飛距離を伸ばしてくるあたりに昨季までと違う陵侑の凄さを感じる。
ジャンプ週間は2戦を終え、陵侑とアイゼンビヒラーの一騎打ちの様相を呈してきた。
二人の差は2.3ptしかない。
ジャンプ週間は勝たなくても獲れるタイトル。実際に過去66回の歴史の中で無勝利でタイトルが決まった年は8回ある。
2連勝したからといってまだまだ全く安心はできない。
ジャンプ週間での開幕2連勝は、日本勢としては1971/72笠谷幸生と1997/98船木和喜に続く3人目。
そのうち船木は3戦目も優勝し総合優勝に輝いたが、同じく3戦目にも勝った笠谷は4戦目を棄権しタイトルを取れなかった。
だが、2001/02ジャンプ週間でグランドスラムを達成したハンナバルトをして「現時点では別の星の人間。完璧な技術がある。昨季のカミル(ストッフ)より一段技術が高い」と言わしめた今の陵侑を見ていると、残り4本を失敗するとは考えにくい。
あるとすれば“転倒“。
前戦の記事にも書いたが、今季の陵侑の圧倒的な高さと飛距離は、時として飛びすぎてしまい、それゆえに着地にリスクが伴う。
嫌な話をするようで恐縮だが、昨季は第3戦インスブルックでそれまで総合2位につけていたフライタークは転倒しタイトル争いから脱落した。
ここまで4本中3本を追い風で飛んでいるが、今の陵侑にとってはこの方がむしろ好都合なのかもしれない。
オーストリアでの残り4本。飛ばし合いにならないことを願う。
昨季ジャンプ週間総合4位だった小林潤志郎は、意地を見せて今季最高位でもある5位。
葛西紀明にKOラウンドで勝利した伊東大貴も今季最高位となる12位。
佐藤幸椰は2戦連続でKOラウンドを勝ち上がり、中村直幹はKOされるもラッキールーザーの2番手で勝ち上がった。
1本目16位ながら2本目はトップの得点で6位まで上げてきたストッフは見事だったし、今季好調の我が愛しのコウデルカが表彰台まで2.4pt差の4位まで迫ったことにも興奮させられた。
一方で、前戦3位のクラフトが両腕をグルグル回す無様なジャンプで49位に終わり、タイトル争いから脱落してしまったことは極めて残念。インスブルックとビショフスホーフェンの観客はフーバーにかすかな望みを託すこととなろう。
ジャンプ週間総合順位 | |||||
Rank | Name | Nation | Total | 1st | 2nd |
1 | 小林 陵侑 | JPN | 548.9 | 282.3 | 266.6 |
1 | 1 | ||||
2 | マルクス・アイゼンビヒラー | GER | 546.6 | 281.9 | 264.7 |
2 | 2 | ||||
3 | ダヴィド・クバツキ | POL | 526.0 | 269.8 | 256.2 |
5 | 3 | ||||
4 | アンドレアス・ストエルネン | NOR | 523.5 | 278.2 | 245.3 |
4 | 10 | ||||
5 | ロマン・コウデルカ | CZE | 518.2 | 264.4 | 253.8 |
11 | 4 |
なお、小林陵侑は今季9戦して6勝。現在3連勝中で、2位ジワに247ptの大差をつけトップを独走中。
そして、6勝目を挙げたことで、葛西紀明が持つ日本人シーズン最多勝利数に並んだことになる。