FISスキーフライング世界選手権2024クルム バートミッテルンドルフ/タウプリッツ 個人後半

クラフトがフライング選手権で初の金メダル 小林陵侑は9位

Flying Hill Individual
  • 2024年1月27日(土)
  • クルム バートミッテルンドルフ/タウプリッツ(AUT)
  • HS235/K200

Official Results

 シュテファン・クラフト(AUT) 647.4pt
 アンドレアス・ヴェリンガー(GER) 645.2pt
 ティミ・ザイツ(SLO) 642.7pt
 
9  小林 陵侑(TEAM ROY) 603.5pt
21  小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部) 544.4pt
30  二階堂 蓮(日本ビールスキー部) 342.1pt
34  中村 直幹(Flying Laboratory SC) 145.5pt

リザルト


シュテファン・クラフトが1日目の2位からの逆転で、自身初のフライング世界選手権金メダルを獲得した。

ワールドカップ通算37勝で2度の総合優勝、世界選手権で3度の金メダル、ジャンプ週間総合優勝…
数々のタイトルを手にしてきたクラフトにとって、フライング世界選手権(SFWC)は2016年と2022年の二つの銅が最高位だったが、また一つ新たな称号が加わった。

木曜日に予選を中止に追い込んだ強風がこの日も猛威を振るった。
14時(日本時間22時)開始予定の3rdラウンドは何度もディレイを繰り返しなかなか始められない。
日没も迫る中、1本だけでも飛べるタイムリミットは16時(日本時間24時)
半ばあきらめていたところで、試合はその16時に開始された。

もし、あのままキャンセルとなっていれば1日目の結果によりザイツが金、フォルファンが銅となっていた。
仮に、彼らが内心この日のキャンセルを願っていたとして誰が責められよう。

飛び終えた瞬間にメダルを逃したであろうことを悟り、ブレーキングトラックに倒れこんで天を仰いだフォルファン。
同じく飛び終えてすぐに金メダルを失ったであろうことを悟り、しゃがみこんで一点を見つめたザイツ。
このタイトルが、選手たちにとっていかに大きなものであるかを物語る。

特にザイツは前回大会で銀メダル。今大会では一日目に2本ともトップスコアを出していたことからも、自身の金メダルへの期待感は大きかったものと思われる。
表彰台に立っても表情はどこか虚ろに見えた。

一方、4位から猛烈に追い上げたヴェリンガーは逆転で銀メダルを得た。
ヴェリンガーにとってSFWCでの個人のメダル獲得は初。


クラフトは、そのヴェリンガーの猛追を2.2pt差でかわした。
2位ヴェリンガーと3位ザイツとの差も僅かに2.5pt。
フライングを3本飛んで、最後は飛距離にして僅か2m~4mの差がメダルの色を分けた。大接戦だったといってよい。

日本勢では小林陵侑がようやく納得の1本を見せた。
SFWCにはこれまで3度出場し、16位(2018年)、19位(2020年)、13位(2022年)と、あまり振るわない。
今回も1日目は13位。もっとも2本目では全選手中で最も悪い追い風をひいてしまったけれど。

しかし、この日はディシュバンデンの235.5mに次ぐ2番目の飛距離である231.5mを飛び5番手のスコア。
ガッツポーズも出たし笑顔も見られた。本人としても納得できる1本だったのではないか。
結果は9位。SFWCで初のシングル。

暫定21位で2日目を迎えた小林潤志郎の3本目は21番手のスコアで結果21位。
3度目の出場となったSFWCでの自己最高位を29位から8つ上げることとなった。

1日目にスーツ違反があり2本目のスコアが取り消された二階堂蓮は、この日の全選手中で最悪の風を引いてしまった。
初のSFWCは何かとついてない。

他では、今季不振のポーランドに久々の活気をもたらした6位ジワ、フライングに適性のあるところを見せた7位キトサホ、COC札幌から中3日で出場した11位ペデルセンなどが印象に残った。

SFWC 過去7大会のメダリスト

 
2012 R.クラニエッツ R.ベルタ M.コッホ
2014 S.フロイント A.バーダル P.プレヴツ
2016 P.プレヴツ K.ガングネス S.クラフト
2018 D-A.タンデ K.ストッフ R.フライターク
2020 K.ガイガー H-E.グランネル M.アイゼンビヒラー
2022 M.リンビーク T.ザイツ S.クラフト
2024 S.クラフト A.ヴェリンガー T.ザイツ
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