小林陵侑が史上6人目となる3度目のジャンプ週間総合優勝
Official Results
1 | シュテファン・クラフト(AUT) | 288.9pt | ワシリエフ |
2 | 小林 陵侑(TEAM ROY) | 287.6pt | デシュバンデン |
3 | アンツェ・ラニセク(SLO) | 281.8pt | アマン |
13 | 二階堂 蓮(日本ビールスキー部) | 255.4pt | D.プレヴツ |
37 | 小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部) | 100.5pt | ストッフ |
44 | 竹内 択(team taku) | 86.4pt | パシュケ |
中村 直幹(Flying Laboratory SC) | 予選58位 |
小林陵侑がジャンプ週間の総合優勝を果たした。
2018/19、2021/22に続く3度目。
通算3回のジャンプ週間制覇は歴代3位で史上6人目となる。
4hillsトーナメント総合順位
1 | 小林 陵侑(JPN) | 1145.2pt |
2 | アンドレアス・ヴェリンガー(GER) | -24.5 |
3 | シュテファン・クラフト(AUT) | -32.5 |
4 | ヤン・ヘール(AUT) | -51.7 |
5 | アンツェ・ラニセク(SLO) | -56.1 |
12 | 二階堂 蓮(JPN) | -128.3 |
29 | 小林 潤志郎(JPN) | -532.2 |
56 | 竹内 択(JPN) | -950.7 |
60 | 中村 直幹(JPN) | -1036.0 |
ジャンプ週間最終戦は、小林陵侑とヴェリンガーの一騎打ちの様相を呈した。
この試合を前にして両者の差は4.8pt。陵侑がわずかにリードしていたものの、飛距離にして2.5mほど。あってないような差だ。
ヴェリンガーはこの台が好きだと言い、ヘッドコーチのホルンガッハーもこの台を得意にしていると太鼓判を押した。
でもWCでは3位表彰台が一度あるだけ。対して陵侑には二つの勝利がある。
とはいえ、こうしたことが全く当てにならないのがジャンプ週間。
まずは予選で陵侑が圧倒した。
トップを獲った陵侑に対してヴェリンガーは18.3pt差の9位。
予選とはいえ、これだけの差を見せつけられてヴェリンガーが動揺しなかったとは考えにくい。
結果論ではあるが、この時すでに勝負はついていたのかもしれない。
そして本戦1本目。
陵侑は予選以上のパフォーマンスを見せ144.1ptでトップを獲った。
実はこの時、間違えて別の板を持って上がってしまい、慌てて取りに戻るというハプニングが起こった。
ただ、終始笑顔。このハプニングがむしろ緊張を解く方向に作用したのかもしれない。
対してヴェリンガーは129.9ptの8位。
予選で大差をつけられたことからくる焦りと、そして何よりも、ドイツ勢として2001/02のハンナバルト以来22年ぶりの栄冠に向けての国民の期待が相当な重圧になっていたであろうことは想像に難くない。
この時点で両者の差は19.0ptにまで開いた。
飛距離にして10m以上の差。
事実上、ここで勝敗は決した。
陵侑にとっての次のミッションはこの試合に勝つこと。
ここまでの3試合はすべて2位。まだ勝利がない。
ジャンプ週間は4試合計8本の得点の合計で競われるものなので、無勝利での総合優勝だとしてもタイトルの価値が薄まるわけではない。だとしても、やはり1勝したうえでタイトルを手中に収めてほしい。
だが、これは叶わなかった。
1.2pt差でピタリと背後につけていたクラフトが2本目で圧巻のパフォーマンスを見せた。
一方「どうやって動いていたかわからない」というほど緊張したという陵侑は、わずかにタイミングが遅れた。
クラフトが今季6勝目を挙げ、逆転を許した陵侑は史上初となる4試合すべて2位でのジャンプ週間制覇とあいなった。
総合 | 第1戦 | 第2戦 | 第3戦 | 第4戦 | 総合優勝 | |
---|---|---|---|---|---|---|
2016/17 | 43位 | 46位 | 45位 | – | 42位 | ストッフ |
2017/18 | 22位 | 12位 | 29位 | 31位 | 20位 | ストッフ |
2018/19 | 優勝 | 優勝 | 優勝 | 優勝 | 優勝 | 小林陵侑 |
2019/20 | 4位 | 優勝 | 4位 | 14位 | 7位 | クバツキ |
2020/21 | 6位 | 14位 | 7位 | 7位 | 14位 | ストッフ |
2021/22 | 優勝 | 優勝 | 優勝 | 優勝 | 5位 | 小林陵侑 |
2022/23 | 18位 | 15位 | 19位 | 32位 | 17位 | グランネル |
NEW | 優勝 | 2位 | 2位 | 2位 | 2位 | 小林陵侑 |
2018/19はグランドスラムでの完全制覇。2021/22も3連勝してグランドスラムにあと一歩に迫った。3度目の制覇にはその派手さはない。
ただ、繰り返すがジャンプ週間は4試合計8本の得点の合計で競われるもの。よって、無勝利での総合優勝だとしてもタイトルの価値は変わらない。
とはいえ、陵侑自身も「うれしさと悔しさがある」と言っている通り、やはり勝利が欲しかったと素直に思う。
なお、無勝利での総合優勝は過去に8人。
直近では1998/99のアホネンなので、小林陵侑は25年ぶり9人目となる。
また、3回目の総合優勝はアホネンの5回、バイスフロクの4回に次ぐ3位。
3回の総合優勝はストッフなど他に3名いるので、小林陵侑は史上6人目となる。
いずれにしても、凄いことを成し遂げた。
そして、それは現在進行形で今後も続いていくことだろう。
まさに生きる伝説。それが小林陵侑。
さて、明日8日(月)は大倉山でHBCカップが開催される。
この試合と、直後に行われる選考会の結果をもとにコンチネンタルカップ(COC)札幌大会の代表10名が決まる。
『選考基準』によれば、すでに下記5名の選手がCOC第1戦と第2戦の選考に当確していることになるはず。
よって、明日8日は残り5枠をめぐっての争いとなる。
- の基準により… 内藤智文
- の基準により… 坂野旭飛、西田蓮太郎、中村正幹
- の基準により… 佐藤慧一
- の基準により… 残り5枠を選考
COC札幌大会は、大倉山で1月20日(土)と21日(日)に計3試合が開催され、その結果によってワールドカップ札幌大会の代表が決まる。
そして、WC札幌大会での成績如何によっては、最終戦プラニツァまでのWC派遣選手として選考されることになる。
つまり、明日8日のHBCカップと選考会は今季のWCに出場するためのラストチャンス。
そういう視点で見ると国内戦は俄然面白くなる。
もっとも、『選考基準』がそこに明記されている通りに適用されればの話ではあるけれど。