2019/20 FISスキージャンプワールドカップ男子個人第8戦オーベルストドルフ

小林陵侑 ジャンプ週間連覇に向け好スタート

2019年12月29日(日)オーベルストドルフ(GER)HS137/K120

11th World Cup Competition

1  小林 陵侑(土屋ホーム) 305.1pt リンゲン
2  カール・ガイガー(GER) 295.9pt ライムント
3  ダヴィド・クバツキ(POL) 294.7pt ハイベック
 
7  佐藤 幸椰(雪印メグミルク) 280.1pt ラニセク
18  伊東 大貴(雪印メグミルク) 267.3pt ヨハンソン
23  小林 潤志郎(雪印メグミルク) 264.1pt 竹内
31  中村 直幹(東海大学札幌SC) 124.2pt フォルファング
41  竹内 択(team taku) 107.7pt 小林潤
52  佐藤 慧一(雪印メグミルク) 予選落ち  

予選リザルト スタートリスト

オフィシャル リザルト


 

小林陵侑は1本目のジャンプでこの試合にケリをつけてしまった。
かなりアグレッシブにも見え、着地を乱しながらもただ一人HSを超えた。
大観衆のZieeeeeh!を受けて最高のパフォーマンスを見せたガイガーに対し7.7ptの差をつけて折り返したが、この時点で既に誰にも追いつくことなどできないだろうと思わせる昨季の強すぎた陵侑の姿がそこにあった。

 

2本目は自ら「少し守りに入ってしまった」というように、勝利を見据えての大人のジャンプとなったが、結果的に300ptオーバーの完勝。ジャンプ週間2連覇に向けて好スタートを切ることとなった。
それだけでなくこの勝利は、ヘルムート・レクナゲル、スヴェン・ハンナバルト、カミル・ストッフに次ぐ史上4人目のジャンプ週間5連勝。
さらには、WC通算16勝目となり、船木和喜を抜いて日本人最多勝利数の単独2位に浮上した。

 

ジャンプ週間初戦は穏やかな天候で、今季一番のイーブンな条件での試合となった。
そんな中、個人的な大本命だったクラフトはやや風に嫌われた印象がある。1本目こそ3位で折り返したが2本目はテレマークが入らず4位。
トップ陵侑にいきなり13.9ptの差がついてしまったが巻き返しに期待したい。

 

ドイツ勢がやはりここに照準を合わせてきたのか、全体的にこれまでにないパフォーマンスを見せてきた。
が、終わってみるとトップ10にはガイガーひとり。
孤軍奮闘中のガイガーだが、何とか陵侑に食らいついていってトーナメントを最後まで盛り上げてほしい。

 

ドイツ勢にあっては、COC札幌大会でおなじみのパシュケが今季ブレイク一歩手前まで来ている。ジャンプ週間においてもガイガーの次に期待できるのはこのパシュケだろう。
それにしてもCOC札幌大会ではそれほどパッとしなかった印象しかないパシュケが、今やドイツチームの中でこんなポジションを築いていることには正直言って驚きしかない。

 

クバツキが表彰台を射止めたことは、今季のここまでの結果からみると少し意外なことではあった。
同僚のストッフは嬉しそうに祝福していたけれど自身は19位。エンゲルベルクでの勝利により期待感は高まっていたので、この結果はかなり残念。
まぁ、確かに条件は悪かったけど、予選結果が良ければ上位陣と同じ条件下で飛べたはず。もっともその予選の条件があまりに不揃いだったので如何ともしがたかったと言えばそれまでだけれど。

 

日本チームは、佐藤幸椰が7位。陵侑がいるので過小評価されがちだが、幸椰はホントに素晴らしいパフォーマンスを続けていると思う。
伊東大貴がラッキールーザーながら18位に入った一方、中村直幹は6番手で涙をのんだ。
また、小林潤志郎vs竹内択にもラッキールーザーでの両者生き残りが期待されたが竹内が沈んだ。予選で転倒した影響があっただろうか。

 

ラッキールーザーといえば、その5名のうち3名がスロベニア勢(ラニセク、ペテル・プレヴツ、ザイツ)。
スロベニア勢でKOラウンドに勝利して2本目に進んだのはドメン・プレヴツただ一人。
こういうこともあるのでジャンプ週間は面白い。一方で怖ろしい。

 


 

過去5シーズンのジャンプ週間総合優勝者
2014/15 シュテファン・クラフト
2015/16 ペテル・プレヴツ
2016/17 カミル・ストッフ
2017/18 カミル・ストッフ
2018/19 小林 陵侑