2019/20 FISスキージャンプワールドカップ男子個人第10戦インスブルック

リンビークが連勝でタイトル争いに名乗りを上げる クバツキはトップに浮上

2020年1月4日(土)インスブルック(AUT)HS130/K120

13th World Cup Competition

1  マリウス・リンビーク(NOR) 253.3pt ポラセク
2  ダヴィド・クバツキ(POL) 252.0pt Dフーバー
3  ダニエル-アンドレ・タンデ(NOR) 249.3pt コウデルカ
 
14  小林 陵侑(土屋ホーム) 229.8pt シッフナー
18  伊東 大貴(雪印メグミルク) 221.9pt ユスティン
22  小林 潤志郎(雪印メグミルク) 215.4pt 佐藤幸
28  中村 直幹(東海大学札幌SC) 199.3pt Pプレヴツ
29  佐藤 慧一(雪印メグミルク) 194.0pt フォルファン
30  竹内 択(team taku) 193.4pt ボイドクローズ
46  佐藤 幸椰(雪印メグミルク) 92.7pt 小林潤

予選リザルト スタートリスト

オフィシャル リザルト


 

オーストリアに舞台を移したジャンプ週間第3戦は、ドイツでの前2戦から一転し難しい条件下での試合となってしまった。

 

ベルクイーゼルはすり鉢状の形状のせいか不規則に風が舞いやすい。
加えてここはHS130というラージヒルとしては小ぶりな台で、しかもK点からHSまでは10mとノーマルヒル並みの短さなのでゲート設定が難しい。
追い風だからとゲートを上げるとそこに予期せぬ向かい風が舞う。そうなるとあっという間にHSを超えてしまうので運営としてはじっと我慢をせざるを得ない。また、数値に現れない風に対しWFが適正に効いているとも言い難い。
結果としてアタリハズレの大きい試合となってしまった。

 

4HTリーダーの小林陵侑と6.3pt差で追うガイガーの二人も、1本目でこの状況に嵌ってしまった。陵侑は13位、ガイガーに至っては23位。
万事休すかと思われたガイガーは、しかし、2本目で2番手のスコアで猛追し最終8位。こんな状況下の試合では何が起こるかわからない。あきらめずに攻めの姿勢で臨んだことでタイトル争いに踏みとどまることができた。
陵侑の2本目も起死回生を狙った攻めのジャンプに見えた。結果は報われなかったけれど、こちらも何とかタイトル争いに踏みとどまった。

 

一方で4HT暫定3位のクバツキと4位のリンビークは「覚醒」という言葉が当てはまるような凄まじいパフォーマンスでし烈な優勝争いを演じた。
2本とも飛距離も同じなら飛型点も同じ。2本目では風速まで一緒だ。
その2本目の風速はこの試合中最も強い追い風。その状況下でも二人はしっかりとK点を超えてきた。

 

仮にここで好条件に当たってリンビークとクバツキがHSまで飛んでしまえば、陵侑とガイガーの最終戦での逆転の目は極めて薄いものとなってしまっただろう。
ガイガーにも陵侑にもまだツキは残っているようだ。そもそも二人とも悪条件に嵌ってしまっただけでジャンプそのものが悪いようには見えなかった。

 


 

ジャンプ週間総合順位
  Name Total 1st 2nd 3rd
1  D・クバツキ 830.7 294.7 284.0 252.0
3 3 2
2  M・リンビーク 821.6
(-9.1)
278.5 289.8 253.3
10 1 1
3  K・ガイガー 817.4
(-13.3)
295.9 285.0 236.5
2 2 8
4  小林 陵侑 817.0
(-13.7)
305.1 282.1 229.8
1 4 14
5  S・クラフト 798.6
(-32.1)
291.2 262.4 245.0
4 13 4

4HT暫定順位(第3戦終了時点)

 

ジャンプ週間総合順位は、3戦連続表彰台のクバツキが3位からトップに浮上。
連勝したリンビークは4位から2位に浮上し、一気にタイトル争いに名乗りを上げることとなった。
一方で小林陵侑はトップ陥落で4位に沈み、ガイガーは陵侑を抜いたものの2位から3位へ後退した。

 

クバツキがタイトルを取るなら、ぜひ最終戦に勝利してほしい。無勝利でのタイトル獲得は画竜点睛を欠く。
最終戦にリンビークが勝利するようであれば、タイトルは彼のものとなってほしい。3勝してタイトルを獲れないようではあまりにも報われない。
ガイガーにはドイツ勢として18季ぶりのタイトルが懸かっているし、陵侑には連覇が懸かっている。トップとは飛距離にして7.5m差。厳しいとはいえ逆転不可能な差ではない。

 

ビショフホーフェンでの最終戦は6日(月)日本時間25:15開始。
最後までだれが勝つかわからない痺れるような争いが待っている。