アルトハウスとピンケルニッヒが表彰台に帰還 伊藤有希は不運に見舞われる
2023年3月15日(水) リレハンメル(NOR)HS140/K123
28th World Cup Competition
1 | カタリナ・アルトハウス(GER) | 251.1pt |
2 | アレクサンドリア・ルティト(CAN) | 242.9pt |
3 | エバ・ピンケルニッヒ(AUT) | 242.1pt |
11 | 高梨 沙羅(クラレ) | 217.3pt |
14 | 勢藤 優花(YAMAtune) | 204.4pt |
16 | 丸山 希(北野建設SC) | 196.0pt |
29 | 宮嶋 林湖(松本大学) | 139.2pt |
33 | 一戸 くる実(CHINTAIスキークラブ) | 61.7pt |
伊藤 有希(土屋ホームスキー部) | 失格 |
伊藤有希が、まさかの不運に見舞われた。
スキージャンプのスタートはシグナルでコントロールされているが、ゲートに着いた選手はシグナルがグリーンに変わってから10秒以内にスタートを切らなければならない。
伊藤は1本目でこれに違反してしまい失格となってしまった。
リプレイ映像を見ると、横川ヘッドコーチはグリーンに変わってからギリギリまでスタートの合図を出さなかったことがわかる。風の状況が思わしくなかったので少しでも良い状況に変わることを期待してのことだったと思われる。
しかし、結果的にそれが裏目に出てしまった。コーチの合図を受けてスタートした時点でほんのわずかに時間を過ぎてしまっていた。
問題は、これが単にこの試合の失格にとどまらなかったこと。
今季のRAWAIRには、この試合までにRAWAIR総合で15位以内に入っていた選手のみが参戦できるフライング戦が用意されている。ワールドカップの試合には含まれていないとは言え、FISの公式試合として女子史上初となるフライング戦だ。
この試合の前まではRAWAIR総合5位に位置しており出場を確実なものとしていた伊藤は、この失格により15位圏外となり出場を逃すことになってしまったのだ。
女子選手たちの間でも熱望されていたフライング戦。中でも伊藤有希は最もそれを楽しみにしていた一人で、今季開幕前には今季の目標として世界選手権よりも真っ先にフライングを挙げていたほどだ。
その夢がこんな形で絶たれるなんて。あまりの悲運に言葉もない。
試合後に日本チームはテストジャンパーとして飛ぶことができないかの交渉を行ったらしい。
また、各国コーチは伊藤の出場を承認する考えのようで、選手らも含めて出場できるよう署名を集めるなどの動きを取っている模様。
果たしてどうなるか。
試合は前戦に引き続き天候が定まらない難しい状況下で行われた。
優勝したアルトハウスは今季7勝目。ここ数戦やや精彩を欠いていたが5試合ぶりに勝利した。
同じく精彩を欠いていたピンケルニッヒも4試合ぶりに表彰台に帰還。
前の試合で総合優勝を決めたピンケルニッヒだが、その際のブログで〝タイトル争いの最終盤が白熱の戦いという状況とならなかったことが少し残念な気もする″と書いた。
でも、おそらくは極限の緊張の中で目に見えない白熱の戦いを繰り広げていたのだろう。その呪縛から解き放たれて二人はこうして表彰台に返り咲いた。
上っ面だけの浅い見方しかできていなかったことを反省。
RAW AIR 総合順位(暫定)
1 | エマ・クリネツ(SLO) | 1444.9 |
2 | カタリナ・アルトハウス(GER) | -20.8 |
3 | セリーナ・フライターク(GER) | -38.8 |
4 | アンナ-オディヌ・ストローム(NOR) | -61.7 |
5 | キアラ・クロイツァー(AUT) | -65.7 |