スキージャンプFISワールドカップ2021/22女子個人第13戦ヒンツェンバッハ

クリジュナルが挑戦者たちを退け今季3勝目 アルペンクローネ戴冠

2022年2月27日(日) ヒンツェンバッハ(AUT)HS90/K85

19th World Cup Competition

1  ニカ・クリジュナル(SLO) 235.3pt
2  マリタ・クラマー(AUT) 215.1pt
3  ジョセフィーヌ・パニエ(FRA) 212.9pt
 
10  伊藤 有希(土屋ホームスキー部) 198.0pt
15  勢藤 優花(北海道ハイテクAC) 181.8pt
21  岩渕 香里(北野建設) 174.3pt
32  岩佐 明香(大林組スキー部) 77.2pt

予選リザルト オフィシャル リザルト


…Alpenkroneというタイトルが争われている。
最終戦を残して、ボガタイが2位クラマーに33.5ptの差をつけてトップ。よほどのことがない限りこのまま逃げ切れるだろう。

スキージャンプFISワールドカップ2021/22女子個人第12戦ヒンツェンバッハ

滅多なことを書くものではないね。
予選で “よほどのこと” が起こってしまった。
ボガタイがシグナルがグリーンに変わる前にスタートしてしまい失格。
本戦に出場できずノーポイント。アルペンクローネは19位で終えることになってしまった。

迎えた本戦。
この試合に欠けたのは大本命ボガタイだけにあらず。
この週末が始まる時点での総合トップ10のうち、ボガタイの他にもアルトハウス、クリネツ、高梨沙羅、イラシュコ-シュトルツ、ピンケルニッヒと計6人もの選手がそれぞれの理由により欠場。

上位を窺うセカンドグループの選手たちにとっては、期せずしてボーナスステージの様相を呈した感がある。そしてそのことが、とんでもなく試合を面白くした。
主役に名乗り出たのは、まだ表彰台からの景色を味わったことのない新進気鋭の選手たち。

1本目が終わった時点で前日に自己最高位4位となった21歳のヴェストマンが2位。
2戦前のヴィリンゲンで4位の19歳パニエが3位。
北京五輪混合団体銅メダルの立役者で、前日に自己最高位9位となった21歳のストレイトが4位。
そして5位には昨年のジュニア世界選手権金メダリストで自己最高位7位の18歳ビョルセット。

先ず彼女たちを迎え撃ったのは、1本目に不運な横風で10位と出遅れたクラマー。
2本目でHSを超える圧巻の91.5mを飛び、挑戦者たちから緑のラインを遠ざけ余裕の表情。
14の勝利を積み上げてきた彼女もまだ20歳。

そして1本目でトップのクリュジュナル。
昨シーズンの総合女王が92.5mで格の違いを見せつけ挑戦者たちにとどめを刺した。
そんな彼女も1年前のここヒンツェンバッハで初勝利を挙げたばかりの21歳。

最終的に、ヴェストマンは2戦連続の4位。ストレイトは自己最高位を1つ更新する8位。ビョルセットは12位に沈んでしまった。
初表彰台の障壁となったのは、クリジュナルとクラマーだけでなく、左からの難しい横風だった。

しかし、パニエはしっかりと表彰台に残った。
フランス女子個人の表彰台は、コリン・マテル、ジュリア・クレールに次ぐ3人目となるだろうか。

アルペンクローネのタイトルは、ボガタイとクラマーを逆転してクリジュナルが獲得。
また、クリジュナルはWC総合でもアルトハウスとボガタイを抜き2位に浮上。

Alpenkrone総合順位
1 N.クリジュナル(SLO)701.0pt
2 M.クラマー(AUT)-16.7
3 L.エダー(AUT)-62.7
4 F.ヴェストマン(SWE)-63.8
5 J.ザイフリーズベルガー(AUT)-85.2
11 勢藤 優花(JPN) -106.1
20 伊藤 有希(JPN) -216.3
24 岩渕 香里(JPN) -267.2
33 高梨 沙羅(JPN) -450.0
45 岩佐 明香(JPN) -545.9

Alpenkrone総合順位

WC総合順位

ところで、ボガタイの失格。
映像を見る限りは、本人のミスではなくコーチがシグナルが変わる前に旗を振ってしまっているように見える。
なぜそうなってしまったのかは定かではないが、予選後にコーチが平謝りしたであろうことは想像に難くない。

まぁ、ボガタイはクリジュナルの優勝を嬉しそうに祝っていたけどね。