2019/20 FISスキージャンプワールドカップ男子個人第23戦ルシュノフ

クラフト通算20勝 NHマイスターの進撃を止める

2020年2月22日(土)ルシュノフ(ROU)HS97/K90

28th World Cup Competition

1  シュテファン・クラフト(AUT) 270.3pt
2  カール・ガイガー(GER) 266.7pt
3  コンスタンティン・シュミット(GER) 260.2pt
 
28  渡部 弘晃(東京美装グループ) 221.0pt
29  栃本 翔平(雪印メグミルク) 217.6pt
38  岩佐 勇研(東京美装グループ) 108.5pt
43  竹内 択(team taku) 106.9pt

予選リザルト オフィシャル リザルト


 

今季ここまでのNHで3連勝中、かつ、WC・GPにおける8つの勝利のうちの6つをNHで飾っているNHマイスター ガイガーをクラフトが止めた。
昨日よりも向かい風が強く、1本目でその風を受けたクラフトはHSを軽々と超える103.0m。ガイガーにはこの風は当たらなかったが、少なくともこの両者においてはWFが機能しているようで不公平感はないように見えた。

 

ルシュノフで男子WCが開催されるのは今年が初めてだが、女子開催時を見る限りはスペクタクル性に欠ける面白くない台という印象を持っていた。
この日は、シュリーリ、シュミットもクラフトと同じく103.0mを飛んだが、運営は初めから100mを超えるぐらいのラインを設定していたんじゃないかな。
飛ばしあいの設定はあまり好きではないが、この台ではそれがちょうどいい。結果としてスペクタクル性に富んだ好ゲームとなったように思う。

 

クラフトは今季4勝目。ガイガー、クバツキ、小林陵侑の3勝に対して頭一つ抜け出した。
そして、これは通算20勝目。ゴルトベルガーの記録に並び、現役選手ではシュリーリ53勝、ストッフ35勝、アマン23勝、フロイント22勝、プレヴツ22勝に次ぐ6位。

 

この2試合で、スタンディングにおいてクラフトとガイガーはそれぞれに160ptと180ptを積み上げた。両者の差は118pt。
残り6試合なので、数字の上では5位ストッフ以下は全勝してもトップのクラフトを逆転できない。つまり総合優勝は、クラフト、ガイガー、クバツキ、陵侑の上位4人に絞られたことになる。

 

WCスタンディング

 

3位のシュミットはWC初表彰台。
今季開幕前に、新コーチであるホルンガッハーはチーム内で注目する選手として、シュミットとパシュケの名前を挙げていた。
その期待に応えて、二人はなかなかの活躍を見せてきたが、より可能性を感じるのは若いシュミット。ここまで5回のシングル、最高位は5位だったが遂に登壇を果たした。
ドイツでは長い怪我から復帰したセヴェリン・フロイントが、この日復帰2戦目で29位となりポイントを獲得。益々層は厚くなる。

 

日本勢では渡部弘晃が28位でポイントゲット。日大時代の2012/13札幌で29位になって以来のことで、海外遠征では初。
栃本翔平も29位でポイントゲット。とっちーのポイント獲得は強風により急遽NHで開催された2015/16ラハティでの27位以来のこと。

 

さて、次のラハティからAチームが戻ってくる。
小林陵侑、小林潤志郎、佐藤幸椰、伊東大貴、中村直幹、佐藤慧一。このメンバーでWC残り全戦+フライング選手権を戦う。
それが発表されたのが2月20日。つまりルシュノフ大会開幕前。これだと、仮にルシュノフでBチームの誰かが優勝したとしても、その選手はチームに残れない。そんなアホな。

 

本来やるべきことは、ルシュノフの結果を待ってから、その結果とAチームの成績や状態を総合的に勘案してラハティ以降のメンバーを決めることではないのかね。
まぁ、地理的条件もあって、早めに派遣選手を決めてあげなくてはいけないという事情はあるにせよ、それでもこれもまさしく『選考基準』の弊害だと思うんだよね。