スキージャンプFISワールドカップ2021/22男子個人第6戦クリンゲンタール

クラフトが今季初優勝 グランネルとストッフが表彰台に帰還

2021年12月11日(土) クリンゲンタール(GER)HS140/K125

7th World Cup Competition

1  シュテファン・クラフト(AUT) 267.0pt
2  ハルヴォア-エグナー・グランネル(NOR) 262.0pt
3  カミル・ストッフ(POL) 261.9pt
 
7  小林 陵侑(土屋ホームスキー部) 257.3pt
15  中村 直幹(Flying Laboratory SC) 246.6pt
26  佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部) 227.8pt
33  小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部) 112.2pt
40  伊東 大貴(雪印メグミルクスキー部) 106.4pt
48  佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) 93.2pt

予選リザルト オフィシャル リザルト


やや掴みどころがない試合だったように思う。
風は前後に向きを変えるが、それほど強くはなく、比較的イーブンな試合だったように思う。
にもかかわらず、1本目と2本目で随分と順位に乖離が見られたのは何故だろう。

1本目でトップだったクラフトは、2本目だけ見れば12位。
2位だったフェットナーが2本目23位で結果16位に、3位だった小林陵侑が2本目14位で結果7位に沈んだおかげもあってクラフトはその座を守れた。

クラフトの1本目は、これぞクラフトと言いたくなるような飛型もばっちり決まった素晴らしいものだった。
2本目もそんなに悪いようには見えなかったが、その割に12番目のスコアにしかならなかった。
それでも周りも順位を落としたことと1本目の貯金もあって勝てたわけだが、まだ、本来の強さを取り戻したわけではないと感じられた。

クラフトは今季初優勝。
昨季はコロナや腰痛による欠場などもあり3位で表彰台に一度上っただけで優勝が無かった。
今季は開幕戦でまさかの予選落ちとなったものの、これで3度目の表彰台。頂上へは2019/20ラハティ以来の帰還。
総合2位に浮上。

なお、クラフトは今季6戦目にして6人目の勝者。
つまり、今シーズンは、これまで6試合ですべて勝者が異なる。
一人の選手が無双するより楽しいと思っているので、この状況は大歓迎ではあるが、今日の試合と同じくシーズン自体が掴みどころがなく進んでいるような気はしている。

1本目で136.0mを飛び、両手で小さなガッツポーズを何度も繰り返したグランネル。
前戦は48位、その前は2試合連続の予選落ちと完全に何かが狂ってしまっていただけに、喜びよりも安堵が勝ったように見えた。
2本目は着地が右に寄りすぎるのが気になったが137.5m。今度は雄叫びを上げた。
4戦ぶりに表彰台に帰還。

なかなか調子が上がってこなかったストッフが今季初表彰台。
昨季ルシュノフでの2位以来、シーズンを跨いで9戦ぶりに表彰台に還ってきた。
これで一安心ではあるけれど、今季ここまでは少し調子にムラがある。
次の試合はどうか。

還ってきたと言えば小林陵侑。コロナ陽性反応による隔離から個人戦2試合と団体戦の欠場を余儀なくされていたが復帰した。
金曜の予選ではトップとなり、隔離の影響を微塵も感じさせなかった。
本戦1本目でも3位につけたが2本目では条件が少し変化したことに対応しきれなかったらしい。
宮平コーチによると、続けて試合に出ていれば対応できていたことであり、よって隔離の影響はゼロではないとのこと。

総合順位 


さて、11日に全日本スキー連盟と国際スキー連盟から2022年1月の札幌と蔵王でのワールドカップ7試合の中止が発表された。

男子は1月に開催予定だったCOCの中止が既に決定している。
その理由は、新型コロナウイルス対策の経費などを同じ1月開催の男女WCに集中する為であると発表されている。
個人的には、同時期に国際大会を2つ開催することに難色を示した国や自治体などに対して、全日本スキー連盟がCOCを犠牲にしてでもWCを開催するという捨て身の戦法に出た結果だと理解している。
そして、実際にWCは生き残ることができた。

しかし、そこから2週間で状況が一変。
オミクロン株の世界的感染拡大により、再びWCの開催の可否が取りざたされることとなってしまった。
9日の報道では(札幌については)17日までに判断するとされていたが、実際には6日早く結論が出た。おそらくは、これ以上は議論の余地が無いほどに詰んでしまったのだろう。

日本で開催される国際大会には開催国枠がある。
そこに出場し好成績を挙げることが、海外派遣を目指す選手たちの唯一ともいえる足掛かりとなる。
その貴重な機会が、2シーズン連続で中止されてしまった。
ここに懸けていた選手たちの無念は察するに余りある。