2017/18 FISスキージャンプワールドカップ女子個人第3戦リレハンメル

アルトハウス圧巻 高梨沙羅は今季初表彰台

2017年12月3日(日) リレハンメル(NOR)HS140/K123 

3rd World Cup Competition 

① カタリナ・アルトハウス(GER) 308.2pt(138.5m 139.5m)
② マーレン・ルンビ(NOR) 284.3pt(130.0m 139.0m)
③ 高梨 沙羅(クラレ) 275.8pt(137.0m 136.0m)

5 伊藤 有希(土屋ホームスキー部) 249.4pt(122.5m 127.5m)
19 勢藤 優花(北海道ハイテクアスリートクラブ) 195.1pt(117.5m 109.5m)
26 岩渕 香里(北野建設) 166.1pt(99.5m 115.5m)

オフィシャル リザルト


 

これは一体なんだろう。
まるで、イラシュコをしてアンドロイドと言わしめた2015/16シーズンの高梨沙羅そのものではないか、今のアルトハウスは。

 

低く微動だにしないクラウチング。踏切のタイミング、速さ、方向。そこからの電光石火の完了。そして形態安定飛行。全て2015/16シーズンの精密機械のようだった沙羅の姿。
1本目は数値上で全選手中最も強い追い風を受けたが、向かい風を受けた沙羅に1.5mの差をつけた。2本目はゲートが1段下がったにもかかわらず沙羅に3.5mもの差をつけての最長不倒。300ptオーバーの高得点を叩き出しての圧勝劇。

 

今季初表彰台となった沙羅は、3戦目にしてようやく本来の姿に近づいてきたように見えた。
でもアルトハウスには32.4ptもの大差をつけられた。
完敗と言っていい。

 

【彼女を脅かす選手が2人、3人、4人・・・と出てきて、高いレベルでぶつかりあい、誰が勝つか最後まで分からないコンペティティブな試合が増えていくことを願うし、そんな中で世界の強敵たちを次々と蹴散らしていく沙羅ちゃんや有希ちゃんの姿をもっともっと見たいと思う。】と、沙羅が50勝を達成した時に書いたことがある。

 

私の願い通りに沙羅を脅かす選手が出てきたわけだが、この3連戦が、誰が勝つか最後まで分からないコンペティティブな試合だったかと問われれば答えに詰まる。沙羅は―そして有希も、3連戦を通じてアルトハウスにもルンビにも全く勝てる気がしなかったから。

 

それでもやはり強力なライバルの出現は大歓迎だ。
一人の選手が勝利を独占してしまう状況が今後も続くようではこの競技種目の発展はおぼつかないと思うし、何よりも見ていて面白くない。

 

沙羅はヘンドリクソンという巨大な壁に立ち向かう挑戦者だったことを忘れてはならない。有希が初優勝までに5年かかったことも忘れてはならない。
新たなる好敵手を得た今、ヒリヒリと焦がれるような熱い戦いが待っているはず。

 

むしろ断然面白くなってきたと思うね。

 


 

リレハンメル・トリプル 総合順位
Rank Name Nation Total 1 2 3
1 カタリナ・アルトハウス GER 842.1 262.2 271.7 308.2
2 1 1
2 マーレン・ルンビ NOR 823.1 271.5 267.3 284.3
1 2 2
3 高梨 沙羅 JPN 776.0 252.0 248.2 275.8
4 4 3
4 伊藤 有希 JPN 744.7 246.1 249.2 249.4
5 3 5
5 カリーナ・フォークト GER 731.8 252.2 232.9 246.7
3 7 6
16 勢藤 優花 JPN 634.5 221.2 218.2 195.1
15 13 19
20 岩渕 香里 JPN 594.9 220.1 208.7 166.1
16 19 26

総合リザルト

 

 

コメント

  1. laziole27さん、こんにちはです。
    Supiでございます。

    男子に続き、女子も開幕したW杯スキージャンプ…ですが、
    この三連戦は、思わず言葉を失ってしまうシーンが次々と…。

    laziole27さんがこの三連戦で書かれていること、ことごとく同感です。

    アルトハウス選手は夏のGP戦の初戦で
    高梨選手と伊藤選手を抑えて優勝しましたが、まさかここまでとは。
    ラージヒルでは、高梨選手と伊藤選手に分があると思ってましたが…。
    元々助走速度の高い選手ですから、あのサッツと飛型をされては…。

    おっしゃるとおり、これは2年前の高梨選手のジャンプスタイルそのものですね。
    一直線に着地点に向かう姿は、サッツの直後にため息が出てしまいます。

    ドイツチームだけでなく、一躍シーズンの主役となった彼女ですが、
    2年前の地元オーベストドルフでの試合では2回目に進めないなどし、
    昨シーズンの世界選手権では、直前のW杯リュブノで優勝しながら、
    NHではパッとせず、混合団体の代表にも選ばれませんでした。

    おそらく山ほど悔しい思いをしてきた彼女、
    今シーズンを迎えるにあたり、並々ならぬ思いで臨んでいるのかと。

    ルンビー選手は、昨年のW杯札幌の2戦目で伊藤選手をねじ伏せたような、
    力強いジャンプを開幕戦から続けてますね。
    ムラがなくなってきたのかは、これから分かることでしょう。

    日本チームのコーチ陣も、
    「冬仕様でのジャンプをあまり飛べていないので、
     みんなの調子が上がるのはこれから」
    と言っていますから、ひとまずこの言葉を信じ、
    次戦の初の女子W杯団体戦、ドイツから勝利をもぎ取ってもらいたいです。

    でも…
    日本人選手の助走速度が遅いのは、やっぱり気になりますね。
    特に伊藤選手が。

    • Supiさん、コメントありがとうございます。

      昨季のリュブノは世戦前の調整で高梨・伊藤は欠場。
      それは必要な措置だったとはいえ、鬼の居ぬ間にアルトハウスに勝つ味を覚えさせてしまったのが今に繋がってしまっているように思えてなりません。

      鷲澤コーチのコメントは完全にマスコミ向けのものでしょうね。
      冬仕様のジャンプを飛べてないのは毎年のことですから。

      次戦は団体戦なんですね。
      個人的にはWCに団体戦は要らないかなと思っているので、本音を言うとあまり食指が動きません。
      おかげで個人戦が2試合減っていますし。