波乱のなかラニセクが今季初優勝でイエロービブを纏う 19歳のエンバッハーが初表彰台

Official Results
| 1 | アンツェ・ラニセク(SLO) | 262.9pt |
| 2 | シュテファン・エンバッハ―(AUT) | 259.9pt |
| 3 | ドメン・プレヴツ(SLO) | 258.7pt |
| 6 | 小林 陵侑(TEAM ROY) | 249.9pt |
| 8 | 二階堂 蓮(日本ビールスキー部) | 249.1pt |
| 17 | 中村 直幹(Flying Laboratory SC) | 231.5pt |
| 22 | 内藤 智文(山形市役所) | 226.1pt |
| 27 | 佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部) | 218.0pt |
| 33 | 小林 朔太郎(雪印メグミルクスキー部) | 107.6pt |
2本目のラストジャンパーはシュテファン・クラフト。
To Beatは130.0m。決して簡単ではないが彼にとっては困難でもない。
ところが、K点の手前にパタリと降りた。緑のラインの遥か手前。
2本目だけで見れば29位。結果9位となり2連勝はおろか表彰台すら失ってしまった。
試合は最後の局面で波乱-というか少し混乱した印象を受けた。
1本目は追い風も交じったが、2本目は完全に向かい風。数値上でもまずまず安定している。ただ、特にカンテ付近に嫌な横風がある。
ラストのクラフトをはじめ、何人かの選手がこの影響を受けたように見えた。
これだけであれば混乱とは言えないが、ここに運営面の拙さも加わってしまった。
6位で折り返したシュテファン・エンバッハーの得点が出ない。システムのトラブルだろうか。待てども待てども出ない。
得点が出ないまま次の選手がスタート。しかし、待っている間に風の状況が悪い方に変わってしまっていたようだ。
その混乱の影響下に二階堂蓮が置かれてしまったことはつくづく残念だ。
1本目は3位。ワールドカップ(WC)での初表彰台が掛かっていた2本目は、やはり得点が出ないで待たされていた間に条件が悪くなってしまっただろうか。
昨季のヴィスワでも3位で折り返した試合があったが、三度目の正直がすぐに訪れることを期待したい。
そんな状況下を巧みに乗り切ったアンツェ・ラニセクが今季初優勝。
開幕から4試合で4人目の勝者。4人目のイエロービブ。
意外にもラニセク自身、初めてのイエロービブとなるようだ。
2位は、ジュニア世界選手権でアホネン以来史上二人目の二大会連続金メダルのエンバッハー。
19歳の神童は、WC出場27戦目で初表彰台を獲得した。
3位は、公式練習で134.0mを飛び転倒したドメン・プレヴツ。
顔に転倒で負った痛々しい傷跡が残るが、それを除けば転倒の影響はなかったようで、見事に今季2度目の表彰台。
日替わりで勝者が生まれる混戦状態だが、表彰台の顔触れも日替わり。
複数回の表彰台はクラフト、ドメン、ラニセクの3人がそれぞれ2回ずつで他はいない。
1本目のトップ3が表彰台に立てなかったりということも例年以上に多いような気もする。
これが、シーズン序盤ゆえのことなのか今後も続くのか。はたまたスーツのルール厳格化に起因するものなのかどうか。
要因はさておき、ずば抜けて無双するような選手がなく、誰が勝つか、誰が表彰台に上るのかが読めない展開はとても面白い。
11シーズンぶりのファルンは、横風のいたずら、システムのトラブルなどいくつかの問題点を見せた。
ただ、一番の問題は観客の少なさ。自国選手の出場が無く、平日開催だったことを差し引いても、2027世界選手権の集客と盛り上がりに少し不安を感じたのが正直なところ。
