グランネル連勝 アイゼンビヒラーは風に泣く
2020年12月5日(土)ニジニ・タギル(RUS)HS134/K120
5th World Cup Competition
1 | ハルヴォア-エグナー・グランネル(NOR) | 270.0pt |
2 | ダニエル・フーバー(AUT) | 255.7pt |
3 | ロベルト・ヨハンソン(NOR) | 254.1pt |
8 | 佐藤 幸椰(雪印メグミルク) | 230.2pt |
12 | 小林 陵侑(土屋ホーム) | 223.1pt |
14 | 佐藤 慧一(雪印メグミルク) | 222.5pt |
29 | 中村 直幹(東海大学札幌SC) | 176.2pt |
31 | 伊東 大貴(雪印メグミルク) | 104.7pt |
36 | 小林 潤志郎(雪印メグミルク) | 101.0pt |
1本目を11.1pt差のトップで折り返したアイゼンビヒラー。
勝利に向けての2本目のジャンプは、しかし、わずか80.0mに落ちた。
数値上は向かい風傾向のこの日の試合の中で、たった2本にだけ記録された追い風が、この大事な場面で吹いた。
勝利に向かうどころか、アイゼンビヒラーは28位にまで転がり落ちてしまった。
数値上は向かい風傾向だったとはいえ、実際には強さも向きもコロコロと変わった。
アイゼンビヒラーも、単に追い風を受けただけなら何とかいなすことはできたはず。
でも、その2本目は、踏切直後に強い横風を受けたか、完全に空中でバランスを失ってしまい為す術なし。
「マルクスは気の毒だったけれど、だれもが一度は味わう悲運だと思う」と、勝ったグランネル。
彼は、この日2本のジャンプを揃えられた数少ない選手の中の一人だ。
これで2連勝。初優勝から2戦目にしてイエロービブを手中に収めた。
自身は陰性だったもののチームと共に自主隔離を強いられたフーバーが復帰し、開幕戦の3位を上回る2位。
1本目25位で万事休すかと思われたヨハンソンが、2本目でヒルレコード更新の爆上げで今季初表彰台。
そして白眉はトーマス・ラックナーだ。
WCは、2017/18インスブルックでの初出場から数えて今日が2試合目。主戦場はコンチネンタルカップまたはFISカップという選手。
そんな選手が4位。WCでの初ポイントがいきなりの50ptだ。
オーストリアは、ヴィスワ大会後にチーム内でコロナ陽性者が複数出たために、次のルカ大会からBチームが代替出場している。
ラックナーもその一人。
オーストリアBチームは、これまでの3試合でシッフナーが53pt、ラックナーが50pt、ライトナーが24pt、カホファ―が9pt、フエットナーが6ptを獲得している。
陽性者に症状が出ている以上不謹慎なことは言えないが、オーストリアBチームに突如としてチャンスが降って湧いたことは事実。
今季は、このように代替出場で大きなチャンスをつかむ選手が現れる可能性がある。
さて、この試合でアイゼンビヒラーが下位に沈んだことと、ポーランドがこの試合にBチームを派遣したこともあって、開幕からの4試合で全てシングル順位を獲得している選手はグランネルと佐藤幸椰だけとなった。
その幸椰は総合3位に浮上。
オーストリアとポーランドのAチームが不在でガイガーも参戦していない。エントリーはわずかに51人。
他力本願的なことはあまり言いたくはないが、それでも幸椰には、この好機を活かしてほしい。
いや、幸椰に限らず日本勢全員が活かしてほしい。