クラフトが悲願のインスブルック初勝利でジャンプ週間首位奪還 オーストリアは今季3度目の表彰台独占で最終決戦へ
Official Results
1 | シュテファン・クラフト(AUT) | 273.3pt | ミゼルニク |
2 | ヤン・ヘール(AUT) | 271.9pt | コス |
3 | ダニエル・チョフェニック(AUT) | 263.3pt | イエラル |
20 | 小林 陵侑(TEAM ROY) | 233.1pt | インサム |
21 | 中村 直幹(Flying Laboratory SC) | 232.9pt | ヴァセク |
29 | 小林 朔太郎(雪印メグミルクスキー部) | 215.0pt | グランネル |
37 | 佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) | 107.3pt | ヴェリンガー |
内藤 智文(山形県スポーツ協会) | 予選56位 | ||
二階堂 蓮(日本ビールスキー部) | 予選棄権 |
オーストリアの、オーストリアによる、オーストリアのためのインスブルック。
オーストリアの3人が他を寄せ付けない圧倒的な力を見せつけた。
1本目。チョフェニックが、この日の設定では誰も越えられないであろう132.5mでトップに立つ。
ところが、クラフトがWFの差でこれを抜いて見せ、ヘールは134.0mでこの二人を凌駕した。
3人の飛型点は、印象点もやや加味されているかいずれも高得点。
2本目。このハイレベルな戦いに、フォルファン、ザイツ、プレヴツ、パシュケ、オルトナー、ヴァセク、デシュバンデンら名うての刺客が挑む。
中でも彼らを倒せる可能性を最も秘めたデシュバンデンと自己最高5位となったヴァセクは猛追を見せたが、くだんの3人は全く違う次元にいた。
終わってみれば、当たり前のように表彰台を独占。
オーストリアの表彰台独占は、第10戦エンゲルベルク、第11戦オーベルストドルフに続く今季3度目。
いずれもクラフト、ヘール、チョフェニックの3人で成し遂げた。
そのうちの二つで頂点に立ったクラフト。今季2勝目となるが、つまりは、どちらもジャンプ週間で挙げた勝利。
2014/15ジャンプ週間総合優勝者であり、ワールドカップでは44の勝利を挙げてきたが、ここインスブルックでは勝利がなかった。
「このために一生をかけてトレーニングしてきた」「2万2000人のファンがいるこの特別な雰囲気と特別な場所で勝つことは子供の頃からの夢だ」
通算45勝目を特別な場所で決め、大観衆に向かって雄叫びを上げたクラフト。
一つの大きな夢をかなえたが、もう一つの大きな偉業にも近づいた。2度目のジャンプ週間総合優勝。
ジャンプ週間におけるオーストリア人の総合優勝回数の最多は2回。ゴルトベルガー、シュリーレンツァウアーら4選手がいるが、クラフトが勝てばそこに並ぶことになる。
この日の勝利で、ジャンプ週間総合ではチョフェニックと入れ替わり再び首位に。
しかし、2位ヘールとの差は0.6pt。3位チョフェニックとは1.3pt。有って無いような差だ。
4Hillsトーナメント暫定順位
1 | シュテファン・クラフト(AUT) | 887.1pt | 2↑ |
2 | ヤン・ヘール(AUT) | -0.6 | – |
3 | ダニエル・チョフェニック(AUT) | -1.3 | 2↓ |
4 | グレゴール・デシュバンデン(SUI) | -23.8 | – |
5 | ヨハン-アンドレ・フォルファン(NOR) | -34.6 | – |
6 | ピウス・パシュケ(GER) | -39.6 | – |
総合優勝者が、この3人から決まることはほぼ間違いない。
オーストリア勢は、ジャンプ週間において2008/09から2014/15までの7シーズン連続で総合優勝を成し遂げているが、それ以降は9シーズン遠ざかっている。その最後の優勝者がクラフトだ。
クラフトは自らその流れに終止符を打つのか。それともヘールか、チョフェニックか ー
また、2017/18のストッフ、2018/19の小林陵侑のグランドスラムを除けば、4試合の優勝者を同国で占めたのは2011/12まで13シーズン遡る。
今回、オーストリアにはその可能性が高まっているが、13シーズン前にそれをやったのもオーストリアだった。(シュリーレンツァウアー×2、コフラー、モルゲンシュテルン)
デシュバンデン、フォルファング、あるいはパシュケらが、これを食い止めるかは興味のあるところ。
でも、その可能性よりも最終戦もオーストリアが無双する可能性の方が遥かに高いだろうと容易に予想できてしまう。
シーズン4度目の表彰台を独占するようなことになれば、史上初の快挙となるはず。
表彰式が終わると、壇上の3人の号令で、他の選手やチームスタッフがベルクイーゼルの特徴的なブレーキングトラックから一斉に滑り降りるという謎のパフォーマンスで万余の観客の喝采を浴びたオーストリア。
チームの雰囲気は最高。一分の隙も見当たらない。
無敵のオーストリア。最終決戦となるビショフスホーフェンで、我々はとんでもないものを目撃することになるかもしれない。
日本勢は小林朔太郎がワールドカップ初ポイントを獲得。2度の総合優勝に輝くグランネルとの対戦に勝って得た大金星。
小林陵侑、中村直幹もポイントを獲得。
ただ、二階堂蓮が発熱により予選を棄権したこともあり、4人目の壁を破ることはできなかった。