クバツキ 圧巻のヒルレコードで連覇に名乗り
2021年1月1日(金)ガルミッシューパルテンキルヘン(GER)HS142/K125
10th World Cup Competition
1 | ダヴィド・クバツキ(POL) | 282.1pt | アイグロ |
2 | ハルヴォア-エグナー・グランネル(NOR) | 274.9pt | エリクセン |
3 | ピオトル・ジワ(POL) | 260.4pt | ハイベック |
7 | 小林 陵侑(土屋ホーム) | 257.2pt | ペテル |
17 | 小林 潤志郎(雪印メグミルク) | 237.9pt | ハマン |
26 | 佐藤 慧一(雪印メグミルク) | 226.7pt | タンデ |
30 | 佐藤 幸椰(雪印メグミルク) | 211.9pt | シュミット |
32 | 中村 直幹(東海大学札幌SC) | 108.5pt | ムランカ |
ジャンプ週間第2戦はクバツキが来た。
昨季このトーナメントを制したクバツキ。
しかし、今季はここまで2つの表彰台があるものの、今一つ冴えない。
それがこの日、いきなり目の覚めるような会心の一発を見せた。
昨季に見せた高すぎるほどの飛行曲線。そしてグイグイと前へ進む推進力。そんなパフォーマンスを2本揃えた。
特に2本目は恐るべき高さと推進力で144.0mまで持っていきヒルレコードを0.5m更新。HS付近の形状が比較的着地のしやすいプロフィールの台ではあるが、しっかりとテレマークも入れて見せた。
WC通算5勝目となるこの勝利は、ジャンプ週間としては昨季第4戦ビショフスホーヘン以来2回目。
総合優勝を決めた昨季のジャンプ週間での唯一の勝利が4戦目だったのに対して、今季は2戦目で勝利を決め一躍総合4位に浮上した。
昨季の第2戦終了時点は3位でトップとの差は8.5pt。今季は8.6pt差。
ポイント上は、2連覇を確実に射程距離に捉えている。
選手たちを悩ませたのは左から吹くWFには反映されない強い横風。
それが僅かに前を向くか後ろを向くかするだけで全く様相の異なるパフォーマンスとなってしまう。
着地でつんのめるように手を回す選手も散見されたことから、特にフライト最終盤で選手の期待と異なる風の状況だったことがうかがえる。
ただし、初戦に勝利したガイガーの1本目は、風の影響というより自らのミスだろう。
明らかにタイミングが遅れて踏み外し、14位で折り返すこととなり頭を抱えた。
それでも2本目は、スタート時は追い風でアプローチ中に向かい風に代わるような状況の中でしっかりと2番手のスコアを収めた。
総合順位を一つ下げたとはいえ、被害は最小限に食い止めた。
小さい台が得意なので次のインスブルックが楽しみだ。
ガイガーに替わって、この日2位で総合トップに浮上したのはグランネルだ。
クバツキがスーパーだっただけで、グランネルには何も悪いところはなかった。
トップで折り返した2本目ではあったけれど、目前でクバツキの144.0mを見せ付けられた。この日の勝利が難しいことを悟ったか、むしろ無理をせずに8分の1のジャンプと割り切ってしっかりと飛びきることを目指したようにも見えた。
ストッフとアイゼンビヒラーは、悪い条件にあたってしまったようだ。
それでもストッフは何とか総合3位に踏みとどまっが、アイゼンビヒラーはトップと23.5ptの差がついてしまった。
また、予選トップのラニセクは1本目でお手つきしてしまい、飛型点を少なくとも15点は失った。
それが無ければ表彰台もあり得ただけに惜しかったが、フライト最終盤の風の影響があったようには見えなかった。
日本勢では小林陵侑が今季初のシングル。
間違いなく調子は上がってきているので今後に期待したい。
怖いのは頭と心の疲労。今季は札幌に帰ることはない。昨季のバルディフィエンメのような状態にならないことを祈る。
小林潤志郎と佐藤慧一はKOラウンドで敗れはしたがラッキーユーザーとして2本目に進みポイントを獲得。
同じくKOラウンドで敗れた中村直幹は7番目のルーザーとなり2本目に残れなかった。
佐藤幸椰はKOラウンドで勝ち上がったが、1本目の順位はむしろ中村より下だった。
こういうことが起こりえるのがKO方式の楽しみでもあり怖さでもある。
ガルミッシューパルテンキルヘンは、現地14時に試合が始まり16時過ぎには終わる。
明るい日差しの中の試合は、夜の試合では隠すことができていた「無観客」の状態が如実に映像に表れてしまう。
今季初めて「無観客」であることを思い知らされた試合だったように思う。
4HT 暫定順位
1 | H-E.グランネル | 555.0pt | 3↑ |
2 | K.ガイガー | -4.0 | 1↓ |
3 | K.ストッフ | -6.7 | 1↓ |
4 | D.クバツキ | -8.6 | 11↑ |
5 | M.アイゼンビヒラー | -23.5 | - |
なお、初戦で3位に入ったリンビークは、この日は欠場。
親知らずが悪化して手術をしたらしい。
好事魔多し。