ソチ オリンピック 2014 女子個人ノーマルヒル決勝

2014年2月12日(水)現地時間 11日21時30分~ 
ロシア ソチ ルスキエ・ゴルキ・ジャンピング・センター HS106 k95

カリーナ・フォークト、初代オリンピック女王に!

金 カリーナ・フォークト (ドイツ) (103.0m、97.5m) 247.4pt
銀 ダニエラ・イラシュコ・シュトルツ (オーストリア) (98.5、104.5) 246.2
銅 コリン・マテル (フランス) (99.5、97.5) 245.2

4位 高梨 沙羅 (クラレ) (100.0、98.5) 243.0
5位 エベリン・インサム (イタリア) (98.5、99.0) 242.2
6位 マヤ・ブティッツ (スロベニア) (100.5、100.5) 241.9
7位 伊藤 有希 (土屋ホームスキー部) (97.5、101.0) 241.8
8位 マーレン・ルンビ (ノルウェー) (97.0、100.0) 235.5

30位 山田 優梨菜 (白馬高校) (78.0、64.5) 115.7

 

最後の瞬間まで誰が勝つかわからない胸を締め付けられるようなスリリングな接戦―
オリンピックの新種目として行われた女子ジャンプは、その歴史の1ページ目にふさわしい好ゲームとなった。

 

初代女王に輝いたカリーナ・フォークトは、今季WCで総合2位につける実力者だが、これまでWCでも世界選手権でも一度も優勝したことがなかった。
勝利の瞬間、思わずその場に泣き崩れたが、喜びよりも驚きの方が大きかったのではないだろうか。

 

感動的なフォークトの勝利の瞬間は、高梨沙羅がメダルを逃したことが確定した瞬間でもあった。
1本目。全選手中で最も強い追い風を受けた。
そんな条件下でも100.0mに達したことは沙羅の技術の高さを物語るが、距離を伸ばすために無理をしたかそれとも急に追い風に叩き落されたかしたためにテレマークが決まらない。

 

2本目。3位からの逆転を目指したが、ここでも追い風を受け、思ったように距離が伸びなかったばかりかやはりテレマークが決まらなかった。
結果は銅メダルに2.2pt届かず4位。
金メダルまでには4.4pt足りなかったが、数字上はせめてフォークトと同じだけの飛型点を出していれば―フォークトの飛型点も決して高いものではなかった―優勝できていたことになる。
もっとも、高い飛型点を狙えば逆に飛距離を犠牲にしなければならなかったかもしれないので、このように結果論で話をすることにあまり意味はないのだが・・・

 

「(五輪は)やはりどこか違うところがあるなと感じました」
試合後、インタビューに答える姿はいつもの彼女とそれほど変わらないようにも見えた。
だが、その少し前まで涙を流していたらしい。
失意を味わった者のひとりサラ・ヘンドリクソンは、沙羅の結果に対しこう語ったという。
「彼女も人間だったことを示した。それでも彼女を素晴らしい選手だと思っている」

 

その沙羅と試合後に抱き合って涙を流したという伊藤有希は、1本目のサッツのタイミング遅れが悔やまれる。
それでも2本目は101.0mの会心のジャンプで2位に入る凄みを見せた。

 

沙羅との差はわずか1.2pt  メダルまで3.4pt
今季WCで近い順位で争うことの多かったマテルが銅メダル。
ならば自分だってメダルに手が届いたはず。
その思いが悔し涙となって頬を伝った。

 

山田優梨菜は、怪我をする前の本来の姿を見せることなくソチを去ることとなった。
日本選手団の中で、この数日間、最も悩み苦しんだ選手のうちの一人ではなかったか。
2本目を飛び終えたときには既にゴーグルの奥で涙を見せていた。
「自分が情けない」という言葉も口をついて出た。

 

しかし、決して下を向いているばかりではない。
インタビューで絞り出すように、それでいてはっきりと口にした次の言葉が沙羅と有希の気持ちをも代弁していた。
「4年後はトップになれるよう成長しますので見ていてください」