スキージャンプFISワールドカップ2021/22男子個人第12戦ビショフスホーヘン

小林陵侑 ジャンプ週間3連勝 2度目の全勝優勝に王手

2022年1月5日(水) ビショフスホーヘン(AUT)HS142/K125

13th World Cup Competition

1  小林 陵侑(土屋ホームスキー部) 291.3pt トロフィモフ
2  マリウス・リンビーク(NOR) 286.6pt ハイベック
3  ハルヴォア-エグナー・グランネル(NOR) 282.4pt ブレサドラ
 
10  佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部) 262.9pt シュミット
19  小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部) 249.4pt ライナー
24  伊東 大貴(雪印メグミルクスキー部) 245.1pt フロイント
31  中村 直幹(Flying Laboratory SC) 211.7pt イエラル
53  佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) 予選落ち  

予選リザルト

1st Start List

オフィシャル リザルト


小林陵侑がジャンプ週間3連勝。
2018/19第67回大会以来となる2度目の全勝優勝に王手をかけた。

本来は4日(火)にインスブルックで行われるはずだった第3戦。
しかし、強風のためキャンセル。
翌5日(水)に予選も含めてここビショフスホーヘンで代替開催された。

大粒の雪が降り続きアプローチの状態はあまり良くなかったはず。加えてこの台はアプローチの傾斜が緩く元々スビートが出にくい。
でも、今の陵侑にとってはあまり関係なかったようだ。1本目こそリンビークと5.7pt差の2位に甘んじたが、2本目はリンビークがまたも着地を決めれなかったこともあって4.7pt差をつけて逆転した。

これでジャンプ週間3連勝。
総合2位のリンビークとの差は17.9pt。飛距離にして約10mの差。
勝負事なので何が起こるかわからないとはいえ、今の陵侑とリンビークの力関係では大きな差に思える。自身2度目のゴールデンイーグルに指先は完全に届いている状態だろう。

グランドスラムはどうか。
2001/02 スヴェン・ハンナバルト、2017/18 カミル・ストッフ、そして2018/19 小林陵侑。
過去69回の歴史の中で3人しか成し得ていない全勝優勝。「2度目」となればもちろん史上初の快挙だ。

試合後のインタビューでは周囲の期待の声などどこ吹く風とばかりに「(いつも通り)目の前の1勝を目標とする」と淡々と語った陵侑。
いたって冷静で、いたって落ち着いている。

2018/19の第4戦は1本目4位からハラハラドキドキの逆転劇で全勝優勝を決めた。
一筋縄ではいかないことは百も承知。
それでも期待感を抑えられないでいるが、陵侑に倣って「目の前の1勝」を挙げることを落ち着いて見守りたいと思う。

そして本戦。
予選よりも多いように見える降雪。風向風速も相変わらず定まらない。
陵侑の1本目はトップのアイゼンビヒラーから4.0pt落ちの4位。ゲートインを少し待たされたことが多少は影響したか。2位にクバツキ、3位にクラフト。猛者達の後塵を拝した。
今季これまでに収めてきた7つの勝利はいずれも1本目をトップで折り返してきたが、ここにきて初めて追う展開に。やはりグランドスラムは一筋縄にはいかない。


ところが、2本目で陵侑は稀代の勝負強さを発揮する。
条件の良くない中137.5mを飛び着地も見事に決めてみせた。
この状況で、このパフォーマンスが出せる凄まじさ。残る三人に強烈なプレッシャーをかける。
これを見たクラフトもクバツキも固くなったか1本目のような豪快さは影を潜め、中盤からの伸びを欠き最後はストンと落とされてしまった。
WC初優勝をジャンプ週間という大舞台で果たすべく気合がこもったアイゼンビヒラーは、条件は悪くなかったが勢い余ってしまったような感じでこれまたストンと落ちて万事休す。


こうして、小林陵侑の偉業達成の瞬間が訪れた。
自身初となる逆転優勝。終わってみれば2位に13.8ptの差をつけた。
ジャンプ週間総合優勝。そしてグランドスラム。
ほどなくして、小林陵侑はチームメートたちの祝福の輪の中にいた。

2018/19 FISスキージャンプワールドカップ男子個人第11戦ビショフスホーヘン
4HT 暫定順位
1 小林 陵侑593.2pt
2 M.リンビーク-17.9
3 H-E.グランネル-38.72↑
4 M.アイゼンビヒラー-42.1
5 K.ガイガー-42.8 1↑

4HT総合順位

第3戦終了時には3位につけていたコスは、この日の転倒により4HT総合7位に後退。

WC総合では、前戦でイエロービブを手中にした小林陵侑が2位ガイガーとの差を更に50pt拡げて首位キープ。
なお、陵侑はWCで4連勝中。ちなみに2018/19はグランドスラムの前後と合わせて6連勝を遂げている。

WC総合順位